サッカー日本代表は、日本時間2026年6月30日に行われたFIFAワールドカップのラウンド32でブラジル代表と対戦し、1対2で逆転負けを喫しました。
日本は29分に佐野海舟の代表初ゴールで先制しましたが、56分にカゼミロのヘディングで追いつかれ、後半アディショナルタイム5分にガブリエウ・マルチネッリの決勝点を許しました。
2025年10月の親善試合では、日本が前半の2点差をひっくり返して3対2で勝利しています。ところが2026年は、日本が先にリードしながらブラジルに逆転されるという、前回とは正反対の結末になりました。
ここでは、日本対ブラジル戦の2025年と2026年の違いを、試合結果、メンバー、戦術、交代策、試合の条件から比較します。
日本対ブラジル戦の2025年と2026年の違い

両試合の最大の違いは、日本が置かれた立場です。2025年は2点を追う側として攻撃の圧力を高められましたが、2026年は1点を守る側となり、時間の経過とともにブラジルの攻撃を受け続けました。
| 比較項目 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|
| 試合 | キリンチャレンジカップ | ワールドカップ・ラウンド32 |
| 開催地 | 東京スタジアム | ヒューストンスタジアム |
| 試合結果 | 日本が3対2で勝利 | 日本が1対2で敗戦 |
| 前半終了時 | 日本が0対2でリードされる | 日本が1対0でリード |
| 日本の得点者 | 南野、中村、上田 | 佐野 |
| ブラジルの得点者 | パウロ・エンリケ、マルチネッリ | カゼミロ、マルチネッリ |
| ブラジルの先発 | 直前の韓国戦から8人変更 | 直前のスコットランド戦と同じ11人 |
| 試合の重み | 国際親善試合 | 敗れれば大会終了の一発勝負 |
2025年に日本が見せた前線からの守備や素早い攻撃は、2026年にも佐野の先制点として表れました。しかし、リード後の試合運びとブラジルの修正への対応では、前回と異なる難しさが生まれました。
2026年の日本対ブラジル戦は1対2で決着

2026年の一戦では、日本が前半に狙い通りの守備を機能させました。ブラジルにボールを持たせながら中央を閉じ、パスが乱れた瞬間に前へ出る形から先制しています。
佐野海舟がブラジルのミスを逃さず先制
試合が動いたのは29分です。佐野海舟がブラジルのダニーロのパスを中盤で奪い、そのままカゼミロを振り切ってペナルティーエリア手前まで前進しました。
最後は右足でゴール左へ鋭いシュートを決め、日本が1対0と先制します。佐野にとっては日本代表初ゴールであり、ワールドカップの決勝トーナメントでブラジルから奪った価値の高い得点となりました。
2025年の南野拓実のゴールも、ブラジルの後方へ複数人で圧力をかけたことから生まれています。相手のビルドアップを狙って得点につなげた点は、2試合に共通する日本の成功でした。
ブラジルが後半からクロスを増やして同点
前半のブラジルは日本の守備ブロックを中央から崩せず、遠い位置からのシュートが多くなっていました。
しかし、カルロ・アンチェロッティ監督は後半開始からエンドリッキを投入し、サイドからゴール前へボールを入れる攻撃を増やします。
56分には、ガブリエウ・マガリャンイスが左側から送ったボールにカゼミロがファーサイドで反応し、ヘディングシュートを決めました。
その直後にはビニシウス・ジュニオールが左から突破して決定的なシュートを放ちましたが、GK鈴木彩艶が触ったボールはポストに当たり、日本は逆転を阻止します。
それでもブラジルの圧力は弱まらず、日本はボールを奪っても上田綺世や前田大然まで安定して届けられない時間が増えていきました。
後半アディショナルタイムに決勝点
1対1のまま延長戦に入るかと思われた後半アディショナルタイム5分、日本が自陣で失ったボールからブラジルに決勝点を許しました。
ブルーノ・ギマランイスが日本の守備陣の間へパスを通し、途中出場のマルチネッリが右足でゴールへ流し込みました。
日本は小川航基を投入して反撃を試みましたが、残された時間は少なく、1対2で試合終了となりました。日本にとって初めてとなるワールドカップ決勝トーナメントでの勝利は、再び持ち越しとなっています。
2025年は追う日本、2026年は守る日本だった

2025年と2026年では、前半終了時のスコアが逆でした。この違いによって、後半に必要とされたプレーも大きく変わっています。
2025年は失うものなく前へ出られた
2025年の日本は前半26分と32分に失点し、0対2でハーフタイムを迎えました。追いつくためには攻撃へ出るしかなく、後半は前線から同数でプレスをかける積極的な守備へ切り替えています。
52分には高い位置でブラジルのミスを誘い、南野拓実が反撃のゴールを決めました。さらに伊東純也を投入すると、右サイドからのクロスで中村敬斗の同点弾を生み、71分にはコーナーキックから上田綺世が逆転ゴールを挙げています。
| 時間 | 得点者 | 得点につながった形 |
|---|---|---|
| 52分 | 南野拓実 | 前線からの連続したプレス |
| 62分 | 中村敬斗 | 伊東純也の右クロス |
| 71分 | 上田綺世 | コーナーキックからのヘディング |
前から奪う守備、サイド攻撃、セットプレーという異なる方法で3点を奪ったことが、2025年の逆転勝利につながりました。
2026年は先制後に守備時間が長くなった
2026年は日本が先制したことで、ブラジルがより多くの人数を攻撃へ送り込む展開になりました。
日本は守備の人数を確保しながらカウンターを狙いましたが、次第に最終ラインと上田綺世の距離が広がり、ボールを前線で保持できなくなります。
ブラジルのボール保持率は約7割に達し、シュート数でもブラジルの19本に対して日本は5本でした。日本は前半の守備と先制点によって試合を接戦に持ち込みましたが、後半はブラジルの攻撃を受ける回数が増えています。
2025年は日本がスコアを動かすために攻め続け、2026年はブラジルがスコアを動かすために攻め続けました。この試合状況の違いが、逆転する側と逆転される側を入れ替えた大きな要因です。
ブラジル代表の先発メンバーと準備度が違った

2025年のブラジルもビニシウス、カゼミロ、ブルーノ・ギマランイス、ルーカス・パケタ、マルチネッリらを起用しており、単純な控え中心のチームではありませんでした。
ただし、韓国戦から先発を8人入れ替えており、最終ラインとGKを中心に連係を試す要素が強い構成でした。
2025年は守備陣を大幅に変更
2025年のブラジルはGKにウーゴ・ソウザを起用し、最終ラインにはファブリシオ・ブルーノ、パウロ・エンリケ、カルロス・アウグスト、ルーカス・ベラウドが入りました。
日本の1点目につながった場面では、前線から圧力を受けた最終ラインがボールを失っています。失点後はチーム全体が落ち着きを失い、日本の勢いを止められませんでした。
2026年は同じ先発を継続
2026年のブラジルは、グループステージ最終戦でスコットランドに3対0で勝利した先発11人を、そのまま日本戦でも起用しました。
| 位置 | 2025年の主な先発 | 2026年の先発 |
|---|---|---|
| GK | ウーゴ・ソウザ | アリソン |
| センターバック | ファブリシオ・ブルーノ、ベラウド | マルキーニョス、ガブリエウ |
| 中盤 | カゼミロ、ブルーノ、パケタ | カゼミロ、ブルーノ、パケタ |
| 前線 | ビニシウス、マルチネッリ、ルイス・エンリケ | ビニシウス、クーニャ、ハヤン |
2026年のブラジルは日本に先制されても配置を大きく崩さず、後半から攻撃方法を修正しました。2025年のように失点後にチーム全体が混乱せず、同じ攻撃を繰り返しながら日本を押し込んだ点が異なります。
さらに、途中出場のエンドリッキとマルチネッリが攻撃の強度を高め、最後はマルチネッリが決勝点を挙げました。ベンチを含めた選手層も、ワールドカップの一発勝負で大きな差になっています。
日本代表は先発7人が共通していた

日本は2025年と2026年で基本となるシステムを維持し、両試合で先発した選手も7人いました。
鈴木彩艶、谷口彰悟、堂安律、佐野海舟、鎌田大地、中村敬斗、上田綺世は、2025年の勝利と2026年のワールドカップを先発で経験しています。
| 区分 | 主な選手 |
|---|---|
| 両試合で先発 | 鈴木彩艶、谷口彰悟、堂安律、佐野海舟、鎌田大地、中村敬斗、上田綺世 |
| 2025年のみ先発 | 渡辺剛、鈴木淳之介、南野拓実、久保建英 |
| 2026年のみ先発 | 伊藤洋輝、冨安健洋、伊東純也、前田大然 |
守備陣の個人能力は高まっていた
2026年は伊藤洋輝、谷口彰悟、冨安健洋による3バックを組み、ブラジルの前線に対して粘り強く対応しました。
前半は中央のスペースを狭く保ち、ビニシウスやマテウス・クーニャにゴールへ近い位置で自由を与えませんでした。鈴木彩艶も複数の決定機を防ぎ、終盤まで同点を維持しています。
失点数は2025年の2点と同じでしたが、2026年の守備が機能しなかったわけではありません。むしろブラジルの攻撃を長時間受けながら、後半アディショナルタイムまで1対1で耐えた点には、守備面での成長が表れています。
南野拓実と久保建英の不在が攻撃に影響
2025年に反撃の1点目を決めた南野拓実は2026年大会に出場しておらず、久保建英も負傷の影響からブラジル戦ではベンチスタートとなり、出場しませんでした。
日本は前田大然と伊東純也のスピードを生かしてブラジルの背後を狙いましたが、先制後は守備へ戻る回数が増え、上田の近くで攻撃を組み立てる選手が不足しました。
2025年は南野がゴール前へ入り、久保が狭い場所でボールを運び、途中出場の伊東が右サイドから流れを変えています。
2026年は伊東を先発で起用したため、後半に追加できる縦への速さが限られました。南野や久保のようにボールを受けて攻撃を落ち着かせる役割を担う選手が少なかったことも、ブラジルの連続攻撃を止めにくくした要因です。
交代策ではブラジルが流れを変えた

2025年は日本の交代策が逆転を生み、2026年はブラジルの交代策が逆転を生みました。交代選手が試合の流れに与えた影響も、両試合の大きな違いです。
2025年は伊東純也が逆転を後押し
2025年は日本が1点を返した直後の54分に、久保建英に代えて伊東純也を投入しました。
伊東は中村敬斗の同点ゴールをクロスで演出し、上田綺世の逆転ゴールにつながったコーナーキックも蹴っています。
ブラジルの守備が日本のプレスへの対応に追われるなか、新たに縦へ速い選手を加えたことが効果的でした。
2026年はマルチネッリが決勝点
2026年のブラジルは、ハーフタイムにエンドリッキ、66分にマルチネッリを投入しました。
エンドリッキが前線で日本の最終ラインへ圧力をかけ、マルチネッリは左から内側へ入る動きで守備陣の間を狙いました。最後は途中出場のマルチネッリが決勝点を決めています。
日本も66分に菅原由勢と鈴木唯人、78分に町野修斗と田中碧を投入しましたが、ブラジルのボール保持を押し戻すまでには至りませんでした。
交代後は守備の人数を確保できた一方、ボールを奪った後の出口が安定せず、再びブラジルへ攻撃権を渡す場面が続きました。
2025年の勝利が偶然ではないことも示した

2026年は敗戦となりましたが、2025年の勝利がブラジルの油断だけで生まれたものではないことも確認できました。
日本はワールドカップの一発勝負でも、組織的な守備からブラジルのミスを引き出し、先制点を奪っています。前半にはブラジルの中央攻撃を抑え、リードした状態でハーフタイムを迎えました。
- 前線と中盤が連動すればブラジルからボールを奪える
- 日本の守備ブロックは世界トップ級の攻撃にも対抗できる
- 佐野海舟のボール奪取と前進は大きな武器になる
- 鈴木彩艶は決定機でもチームを救える
- 上田綺世を攻撃の出口として使う形は通用する
一方で、ブラジルを相手にリードを守り切るには、守備だけでなくボールを保持して相手の攻撃回数を減らす力も必要です。
2026年の日本は守備で耐えることはできましたが、後半に相手陣内まで運ぶ回数が減り、ブラジルに修正と再攻撃の機会を与え続けました。
2025年は勝てて2026年は負けた理由

2025年と2026年の結果が分かれた理由は、一つのミスや一人の選手だけでは説明できません。試合状況、相手の完成度、交代策、攻撃の継続性が重なった結果です。
ブラジルが失点後も冷静だった
2025年のブラジルは最初の失点後にプレーの精度が落ち、日本の勢いを止められませんでした。
2026年は佐野に先制点を許しても無理に中央を突破せず、後半からクロスを増やして日本の最終ラインを押し下げました。カゼミロの同点ゴールも、この修正から生まれています。
日本が追加点を狙う形を作れなかった
日本は先制後も守備の集中を保ちましたが、ブラジルを後方へ押し戻す攻撃が不足しました。
上田へのロングボールが収まらず、サポートする選手も自陣からの長い移動を求められたため、攻撃が単発になっています。
ブラジルにとっては、ボールを失ってもすぐに回収し、再び日本の守備陣へ攻撃を仕掛けられる状況でした。
最後まで攻撃できる選手層の差が出た
ブラジルはエンドリッキとマルチネッリを途中から起用し、90分を過ぎても日本の背後を狙い続けました。
日本は負傷者の影響もあり、守備の強度を保ちながら攻撃の質も高められる選択肢が限られていました。延長戦を意識する必要があるなかで、終盤に攻撃へ大きく人数をかけにくかったことも難しい点です。
日本対ブラジル戦の2025年と2026年を比較した結論
2025年と2026年の日本対ブラジル戦は、どちらも前半にリードしたチームが後半に逆転される展開となりました。
2025年は日本が前線のプレス、伊東純也の投入、サイド攻撃、セットプレーによって0対2から3点を奪いました。2026年はブラジルが後半からクロスと前線の人数を増やし、カゼミロと途中出場のマルチネッリによって0対1から逆転しています。
日本は2026年のワールドカップでもブラジルに通用する部分を示しました。佐野海舟の先制点、前半の守備、鈴木彩艶のセーブは、世界の強豪を倒せる可能性があることを証明しています。
その一方で、先制後にボールを保持する力、相手の修正を押し戻す攻撃、終盤まで攻守の強度を維持する選手層には課題が残りました。
2025年の勝利と2026年の敗戦から分かるのは、日本がブラジルに勝てない相手ではなくなった一方、ワールドカップの一発勝負で勝ち切るには、良い時間帯を作るだけでは足りないということです。
ブラジルを追い詰めた経験を次の大会につなげるには、守備で耐えた後にどう相手陣内へ進み、試合の主導権を取り戻すかをチーム全体で高める必要があります。


