プレミアリーグの登録枠とは?ルールやホームグロウン制度をわかりやすく解説

プレミアリーグの登録枠とは?ルールやホームグロウン制度をわかりやすく解説
プレミアリーグの登録枠とは?ルールやホームグロウン制度をわかりやすく解説
海外サッカー事情

世界最高峰の戦いが繰り広げられるイングランドのプレミアリーグ。移籍市場が開くたびに、驚くようなビッグネームの獲得や巨額の移籍金が話題になりますが、実はその裏側には非常に厳格な「登録枠」というルールが存在していることをご存知でしょうか。

「なぜあのチームはこれ以上選手を補強できないのか?」「なぜ有望な若手がベンチにも入れないのか?」といった疑問は、すべてこの登録ルールを理解することで解決します。サポーターとして知っておくと、移籍ニュースやチーム編成のニュースが何倍も面白くなるはずです。

この記事では、複雑そうに見えるプレミアリーグの登録枠について、初心者の方にもわかりやすく噛み砕いて解説していきます。ホームグロウン制度や若手選手の特例など、チーム運営を左右する重要なポイントを一緒に見ていきましょう。

プレミアリーグ登録枠の基本となる「25人ルール」

プレミアリーグのチーム編成において、最も基本的かつ絶対的なルールが「25人の登録枠」です。各クラブはシーズン前半と後半の区切りごとに、リーグ機構に対して最大25名の選手リストを提出しなければなりません。このリストに入っていない選手は、原則としてリーグ戦のピッチに立つことができないのです。

25人という人数の内訳と制限

まず理解しておきたいのは、登録できる選手の総数が「最大25人」であるという点です。これはゴールキーパーも含んだ数字であり、どんなに資金力があるクラブでも、26人以上のベテラン選手を抱えてリーグ戦を戦うことはできません。

この25人という枠の中で、チームはポジションごとのバランスを考え、怪我人が出た場合のリスク管理を行いながら編成を決定します。もし25人の枠が埋まっている状態で新しい選手を獲得した場合、既存の誰か一人を登録リストから外さなければならず、これが移籍市場での放出の動きに直結します。

逆に言えば、25人未満で登録することも可能です。しかし、過密日程が続くプレミアリーグにおいて、選手層の薄さは命取りになりかねないため、多くのクラブは可能な限り枠を有効活用しようと努めます。

【プレミアリーグ登録枠の基本】

・登録できるのは最大25名まで

・シーズン開幕時(9月上旬)と冬の移籍市場終了後(2月上旬)に提出

・リスト外の選手はリーグ戦に出場できない

「外国人枠」という概念は存在しない?

日本のJリーグや他の欧州リーグでは「外国人枠」という言葉をよく耳にしますが、現在のプレミアリーグには、厳密な意味での「国籍による外国人枠」は存在しません。その代わりに設定されているのが、「ホームグロウン選手」以外の人数制限です。

具体的には、「ホームグロウン以外の選手」は最大17人までしか登録できないという決まりがあります。これは実質的に、海外から獲得したスター選手だけでチームを埋め尽くすことはできないということを意味しています。

国籍そのものを問うのではなく、どこで育成されたかを重視するのがプレミアリーグの特徴です。そのため、たとえイングランド国籍を持っていなくても、条件さえ満たせば外国人扱いされないケースも存在します。

ゴールキーパーの扱いはどうなるのか

フィールドプレーヤーと異なり、ゴールキーパーは特殊なポジションですが、登録枠のルール上は特別な優遇措置はありません。25人の枠の中に、通常は3人のゴールキーパーを含めるのが一般的です。

もし3人のキーパーを登録すると、残りのフィールドプレーヤー枠は22人となります。怪我が多いポジションでもあるため、第3キーパーに誰を置くか、あるいはホームグロウン枠を満たすキーパーを確保できるかは、チーム編成における隠れた重要ポイントとなります。

ただし、登録しているゴールキーパーが全員負傷してプレー不可能になった場合など、緊急事態においては例外的に短期レンタルなどでキーパーを補充することが認められるケースもあります。

補足:緊急時の特例措置

登録キーパー全員が負傷離脱し、トップチームでプレー可能なGKが一人もいなくなった場合に限り、プレミアリーグ理事会の承認を得て、登録期間外でもGKを緊急補強できるルールが存在します。

チーム編成の鍵を握る「ホームグロウン選手」制度

プレミアリーグの登録枠を語る上で、最も重要で複雑なのが「ホームグロウン(Home Grown)」制度です。このルールの存在が、イングランド人選手の移籍金が高騰する最大の要因とも言われています。

ホームグロウン選手の定義とは

ホームグロウン選手とは、国籍に関係なく「21歳の誕生日を迎えるシーズン終了までに、イングランドまたはウェールズのサッカー協会に加盟するクラブで、通算3年間(または36ヶ月間)登録されていた選手」のことを指します。

ここで重要なのは、国籍は問われないという点です。例えば、スペインやフランスの国籍を持つ選手であっても、10代のうちにプレミアリーグのクラブ下部組織に移籍し、そこで3年間過ごしていればホームグロウン選手として扱われます。

逆に、イングランド代表の主力選手であっても、10代の時期を海外のクラブで過ごしていた場合(例:エリック・ダイアー選手がスポルティングCPで育成されたケースなど)は、プレミアリーグの規定ではホームグロウンとみなされない場合があります。

「8人」という数字の強制力

25人の登録枠のうち、最大17名まではホームグロウン以外の選手(主に海外移籍組)で構成できますが、残りの枠はホームグロウン選手で埋めなければなりません。フルで25人を登録する場合、最低でも8人のホームグロウン選手が必要になります。

これを簡単な計算式にすると「25(全体)-17(非HG)=8(HG)」となります。ビッグクラブほど世界中から優秀な外国人選手を集めたがりますが、この「最大17人」というキャップがあるため、無制限に補強することはできないのです。

このルールは、国内の若手育成を促進し、イングランド代表の強化につなげることを目的として導入されました。そのため、各クラブはアカデミー出身者を大切に育てるか、他クラブから高額な移籍金を払ってでもホームグロウン選手を獲得する必要に迫られます。

条件を満たせない場合のペナルティ

もしチーム内にホームグロウン選手が8人いない場合、どうなるのでしょうか?答えはシンプルで、「登録できる総人数が減る」というペナルティが課されます。

例えば、ホームグロウン選手が6人しかいないチームの場合、非ホームグロウン選手(最大17人)と合わせて、合計23人までしか登録できません。「足りない2人分を外国人で埋める」ということは許されず、その枠は空席(空き枠)として残す必要があります。

選手層が薄くなることは、長いシーズンを戦う上で大きなハンデとなります。そのため、マンチェスター・シティやアーセナルといった強豪クラブでも、第3GKや控えのDFなどにイングランド育ちの選手を配置し、数合わせを含めて懸命に枠を調整しているのです。

メモ:通称「イングリッシュ・プレミアム」
ホームグロウン枠を埋めるためにイングランド人選手の需要が高まり、実力以上の移籍金がつく現象を「イングリッシュ・プレミアム(英国人価格)」と呼びます。

21歳以下の若手選手(U21)が最強の抜け道になる理由

「25人しか登録できないなら、若手を試す余裕なんてないのでは?」と思うかもしれませんが、実はここにもう一つの重要なルールが存在します。それが「U21(21歳以下)選手の登録免除」規定です。このルールこそが、ビッグクラブが若手を乱獲できる理由でもあります。

25人の枠外で無制限に登録可能

プレミアリーグの規定では、規定の年齢以下の選手(U21選手)は、25人のメインチーム登録枠に含める必要がありません。つまり、25人の枠がいっぱいであっても、U21の条件を満たす選手であれば、人数無制限で何人でもベンチ入りさせたり、試合に出場させたりすることが可能です。

このルールのおかげで、各クラブは主力選手25名を確保しつつ、才能ある若手選手を積極的にトップチームの試合で起用することができます。例えば、シーズン中に怪我人が続出した場合、アカデミーから若手を引き上げて緊急招集できるのはこの規定があるからです。

U21選手の年齢基準はいつ決まるのか

「21歳以下」といっても、いつの時点で21歳であるかが重要です。ルール上は、「そのシーズンの1月1日時点で21歳未満であること」が基準となります。具体的な西暦で指定されるため、シーズンごとに基準となる生年月日は更新されていきます。

例えば、2024-25シーズンの場合、「2003年1月1日以降に生まれた選手」がU21枠として扱われます。たとえシーズン中に誕生日を迎えて22歳になったとしても、そのシーズン中はU21資格を維持できるため、登録枠を圧迫することはありません。

チェルシーやブライトンが駆使する戦略

近年、チェルシーやブライトンといったクラブが世界中から若手選手を大量に獲得している背景には、このU21ルールの活用があります。獲得した選手がU21対象年齢であれば、トップチームの25人枠を使わずに保有できるため、戦力の「別腹」としてストックできるのです。

特にチェルシーのような資金力のあるクラブは、将来有望な10代後半から20歳前後の選手を次々と獲得し、即戦力として起用したり、レンタル移籍で経験を積ませたりしています。彼らが成長して22歳以上になった時、初めて「誰を25人枠に残すか」という選択を迫られることになります。

ホームグロウンとの混同に注意

よくある誤解として、「U21選手=ホームグロウン選手」というものがありますが、これは必ずしもイコールではありません。U21枠で出場する場合、その選手がどこで育ったか(ホームグロウンかどうか)は問われません。

海外から獲得したばかりの18歳のブラジル人選手も、条件を満たせばU21枠として登録なしで出場できます。彼らが将来的に「ホームグロウン資格」を得るためには、21歳になるまでに3年間イングランドのクラブに所属する必要があります。つまり、U21枠を活用して試合に出ながら、同時に将来のホームグロウン資格取得のための期間を消化していく、という育成プランが採られることが多いのです。

プレミアリーグとCLで異なる?欧州カップ戦の登録ルール

プレミアリーグで上位に入ると、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)への出場権が得られます。しかし、ここで多くの監督を悩ませるのが「プレミアリーグとUEFAの大会では登録ルールが微妙に違う」という問題です。

「協会育成」と「クラブ育成」の厳格な区分

UEFAの大会でも「Aリスト」と呼ばれる25人の登録枠があり、そのうち8人が「地域育成選手」でなければならない点はプレミアリーグと似ています。しかし、UEFAのルールはその内訳がさらに厳しく設定されています。

UEFAでは8人の枠を以下の2つに分けています。
1. クラブ育成枠(Club-trained):最低4人
2. 協会育成枠(Association-trained):残り4人

「クラブ育成枠」とは、15歳から21歳までの間に、自クラブに3年以上在籍していた選手のことです。プレミアリーグのルールでは「イングランド国内のどこかで育っていればOK」でしたが、CLでは「自分のチームで育てた選手」が必ず4人必要になります。

リスト漏れが起きる原因はここにある

この「クラブ育成枠4人」という条件が非常に高いハードルとなります。自前のアカデミーからトップチームに定着できる選手はそう多くないため、ビッグクラブであってもこの4枠を埋められないことが多々あります。

もしクラブ育成選手が3人しかいない場合、Aリストの登録上限は24人に減らされます。2人しかいなければ23人です。その結果、プレミアリーグでは登録できているのに、CLのメンバーリストからは外さなければならない選手が出てきます。これが「CL登録メンバー外」というニュースになる原因です。

UEFA独自の「Bリスト」制度

一方で、UEFAには若手選手のための「Bリスト」という制度があります。これはプレミアリーグのU21枠に似ていますが、条件が少し異なります。

Bリストに登録できるのは「21歳以下で、かつ15歳以降にそのクラブに継続して2年間以上在籍している選手」です。つまり、獲得したばかりの19歳の新戦力は、プレミアリーグではU21枠として登録不要ですが、CLではBリストの条件(在籍2年)を満たさないため、貴重なAリストの枠を使わなければ登録できないのです。

【プレミアとUEFAのルールの違い】

■プレミアリーグ

・HG枠:国内のどこかで育成されていればOK

・U21:加入直後でも登録枠外で出場可能

■UEFA(CL/EL)

・HG枠:自クラブ育成4人+国内育成4人が必須

・若手:在籍2年未満ならメインのAリスト枠を消費する

登録枠に関係する「労働許可証(GBE)」の壁

最後に、登録枠とは直接の人数制限ではありませんが、切っても切り離せない「労働許可証(ワークパーミット)」の問題について触れておきましょう。特にイギリスのEU離脱(ブレグジット)以降、このルールが各クラブの補強戦略に大きな影響を与えています。

試合に出るための必須条件

プレミアリーグのクラブが選手を獲得し、登録枠に入れたとしても、イギリス政府から労働許可が下りなければ、その選手は公式戦に出場することができません。以前はEU国籍の選手であれば自由に獲得できましたが、現在はすべての外国人選手が審査の対象となります。

この審査は「GBE(Governing Body Endorsement)」と呼ばれ、ポイント制で評価されます。代表チームでの出場数、所属していたリーグのレベル、出場時間などがポイント化され、基準点(通常は15点)を超えないと労働許可が下りません。

新設された「ESC枠」とは

厳格なポイント制によって、南米や日本の若手有望株を獲得するのが難しくなりましたが、2023年に新しい救済措置が導入されました。それが「ESC(Elite Significant Contribution)プレーヤー」枠です。

これは、通常のポイント基準を満たしていなくても、高いポテンシャルがあると認められた選手を一定数(クラブごとに2〜4枠程度)獲得できる制度です。この枠のおかげで、まだ代表歴の浅い各国の若き才能が、以前よりスムーズにプレミアリーグへ挑戦できるようになりました。

レンタル移籍との兼ね合い

労働許可証が取れない、あるいは登録枠(25人枠)に入りきらない選手を獲得した場合、クラブは彼らをすぐに海外のクラブへレンタル移籍させることがあります。

レンタル先で出場経験を積み、代表に選ばれるなどしてGBEポイントを稼いでから、数年後に正式にプレミアリーグの登録枠に戻すという長期的な計画です。私たちが目にする「獲得即レンタル」というニュースの裏には、こうした登録枠や労働許可証の事情が複雑に絡み合っているのです。

プレミアリーグの登録枠ルールまとめ

まとめ
まとめ

ここまで、プレミアリーグの登録枠について詳しく解説してきました。一見するとただの事務的なルールのようですが、実はチームの順位や補強戦略を決定づける非常に重要な要素であることがお分かりいただけたかと思います。

最後に、今回の記事の要点を振り返っておきましょう。

【記事のポイント】

●25人の壁
トップチーム登録は最大25人。そのうち「ホームグロウン以外」は最大17人まで。

●ホームグロウンの重要性
国内育成選手を最低8人入れないと、全体の登録枠が減らされるペナルティがある。

●U21は別枠扱い
21歳以下の選手は25人の枠外で無制限に起用可能。これが若手補強の鍵。

●欧州カップ戦との違い
CLでは「自クラブ育成」が求められるため、プレミアより条件が厳しい。

これらのルールを頭の片隅に置いておくことで、「なぜあの選手を獲得しないのか」「なぜ若手が急に起用されたのか」といった疑問が解消され、サッカー観戦がより深く楽しめるようになります。移籍市場のニュースを見る際は、ぜひこの「登録枠」のパズルを想像しながら楽しんでみてください。

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