激化するプレミアリーグの退場劇!新ルールや歴代記録を徹底解説

激化するプレミアリーグの退場劇!新ルールや歴代記録を徹底解説
激化するプレミアリーグの退場劇!新ルールや歴代記録を徹底解説
海外サッカー事情

世界最高峰の強度とスピードを誇るイングランド・プレミアリーグ。その激しさゆえに、試合の行方を大きく左右する「レッドカード(退場)」が頻繁に話題となります。「なぜ今のプレーで退場なの?」「出場停止は何試合になるの?」と疑問に思ったことはありませんか?

特に近年はルールの厳格化やVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入により、退場に関する判定基準が複雑になっています。日本人選手が巻き込まれるケースもあり、ルールを正しく理解しておくことで、観戦の解像度がグッと上がります。

この記事では、プレミアリーグにおける退場のルールや出場停止の仕組み、歴代の退場記録、そして記憶に残る事例について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

プレミアリーグで「退場」になる主な理由と最新ルール

プレミアリーグで主審が赤いカードを提示し、選手にピッチから去るよう命じる瞬間は、スタジアムの空気を一変させます。退場になるには大きく分けて3つのパターンがあり、近年ではさらに細かい基準が設けられています。

イエローカード2枚による累積退場

最も一般的な退場の理由の一つが、1試合の中でイエローカード(警告)を2枚受けることです。サッカーでは「警告」が2回積み重なると、自動的にレッドカード(退場処分)となります。

1枚目はラフプレーや戦術的なファウル、あるいは異議などで出されることが多いですが、問題は2枚目です。1枚貰っている選手は慎重にプレーしますが、試合の熱量が高まるとつい手が出てしまったり、遅れてタックルに入ってしまったりすることがあります。この場合、たとえ2回目のファウルが「一発退場」ほど悪質でなくても、累積によって退場となります。

一発退場となる「危険なプレー」と「乱暴な行為」

イエローカードを経ずに、主審が即座にレッドカードを提示するのが「一発退場」です。これは主に、相手選手の選手生命を脅かすような危険なタックルや、スポーツマンシップに反する乱暴な行為に対して適用されます。

具体的には、足の裏を見せて相手の足首や膝に向かってタックルする行為や、プレーと関係ないところで相手を殴る、蹴る、唾を吐くといった行為が該当します。プレミアリーグはフィジカルコンタクトが激しいリーグですが、選手の安全を守るために、こうした行為には非常に厳しい目が向けられています。

決定機阻止「DOGSO(ドグソ)」の4要件

近年よく耳にするようになった「DOGSO(ドグソ)」という言葉をご存じでしょうか。これは「Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity」の略で、「決定的な得点機会の阻止」を意味します。

守備側の選手がファウルで相手の決定的なチャンスを潰した場合、そのプレーが悪質なタックルでなくても、レッドカードが提示されることがあります。DOGSOと認定されるには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。

【DOGSOの4要件】

1. 反則が起きた場所とゴールの距離

2. プレーの方向(ゴールに向かっているか)

3. 守備側競技者の位置と数(カバーに入れる選手がいないか)

4. ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性

これらすべてが揃った場合、「得点が入るはずだったチャンスを不正に止めた」として退場処分となります。ただし、ペナルティエリア内でDOGSOのファウルを犯し、PK(ペナルティキック)が与えられる場合に限り、ボールにプレーしようとした結果のファウルであれば、三重罰(PK、退場、次節出場停止)を避けるためにイエローカードに軽減されるルールもあります。

近年厳格化された「遅延行為」と「異議」への対策

2023-24シーズン以降、プレミアリーグでは試合の実際のプレー時間を確保するため、「時間稼ぎ(遅延行為)」に対する取り締まりが劇的に厳しくなりました。

スローインやゴールキック、フリーキックの再開に時間をかけすぎたり、ボールを遠くへ蹴り出したりする行為には、容赦なくイエローカードが出されます。また、審判への執拗な抗議(異議)に対しても厳罰化が進んでおり、キャプテン以外の選手が審判を取り囲む行為には即座にカードが出される傾向にあります。これにより、些細な遅延行為で1枚目のカードを貰い、その後の軽いファウルで2枚目を貰って退場、というケースが増えています。

出場停止は何試合?ペナルティの仕組みと影響

選手が退場処分を受けると、その試合の残り時間を数的不利で戦うだけでなく、次の試合以降も出場できなくなる「出場停止処分」が科されます。この期間は退場の理由によって異なります。

違反内容によって異なる停止試合数

プレミアリーグにおける出場停止試合数は、基本的に以下の基準で決まります。

退場理由 基本の出場停止数
イエローカード2枚 1試合
DOGSO(決定機阻止) 1試合
異議・暴言 2試合
著しく不正なプレー・暴力行為 3試合

注意したいのは、危険なタックルや暴力行為による「一発退場」の場合、通常は3試合の出場停止となる点です。これはチームにとって大きな痛手となります。さらに、あまりに悪質な行為だと判断された場合は、FA(イングランドサッカー協会)の規律委員会によって、3試合以上の長期出場停止処分が追加されることもあります。

異議申し立てと処分の撤回

クラブ側が「審判の判定は明らかに間違っている」と判断した場合、FAに対して異議申し立て(アピール)を行うことができます。

独立した委員会が映像を検証し、判定が誤りだったと認められれば、レッドカードと出場停止処分が取り消されることがあります。実際にプレミアリーグでは、試合後に「あれはレッドカードではなかった」として処分が撤回され、次節の出場が可能になった例も少なくありません。しかし、申し立てが「根拠がない」「時間稼ぎの無駄な訴え」と判断された場合、逆に出場停止期間が延長されるリスクもあるため、クラブ側も慎重に判断します。

チームへの罰金とクラブ内の規律

退場処分は選手個人の出場停止だけでなく、クラブに対する罰金につながることもあります。特に、短期間に複数の選手が退場したり、審判を取り囲んで抗議したりしてチーム全体がコントロールを失っていると判断された場合、クラブに対してFAから高額な罰金処分が科されます。

また、多くのクラブでは内部規定(コード・オブ・コンダクト)を設けており、不必要な退場(例えば審判への暴言や、無謀な暴力行為など)をした選手に対して、週給の数週間分といった罰金を科すことがあります。選手にとっては、試合に出られないだけでなく、経済的なペナルティも受けることになるのです。

歴史に名を残す「退場王」は誰だ?歴代ランキング

長いプレミアリーグの歴史の中には、その激しいプレースタイルで恐れられ、何度もピッチを去ることになった「退場王」たちが存在します。ここでは、記録に残る有名な選手たちを紹介します。

パトリック・ヴィエラとダンカン・ファーガソン

プレミアリーグ史上、最も多くのレッドカードを受けた選手として知られるのが、パトリック・ヴィエラ、ダンカン・ファーガソン、リチャード・ダンの3名です。彼らはそれぞれ通算8回の退場を記録しています。

アーセナルの伝説的キャプテンであるパトリック・ヴィエラは、中盤での激しいボール奪取と闘争心が持ち味でしたが、その情熱が時に行き過ぎて審判のターゲットになりました。一方、エヴァートンなどで活躍したダンカン・ファーガソンは「ビッグ・ダンク」の愛称で親しまれた武闘派ストライカーで、相手ディフェンダーとの取っ組み合いも辞さないスタイルが記録に繋がりました。彼らの記録は、当時のプレミアリーグの「肉弾戦」の激しさを象徴しています。

クラブ別の退場数が多いチーム

選手個人だけでなく、チームごとの退場数にも傾向があります。歴史的に「タフなチーム」「激しいチーム」として知られるクラブは、レッドカードの枚数も多い傾向にあります。

特にエヴァートンやアーセナルは、プレミアリーグ発足以来、通算退場数が100枚を超えていることで知られています。アーセナルはベンゲル監督時代後期やアルテタ監督就任初期において、規律の問題でカードが増えた時期がありました。一方、エヴァートンは伝統的にフィジカルを前面に押し出すスタイルがファンに愛されており、その代償としてカードが増える側面もありました。

記憶に残る衝撃的な退場劇

数字だけでなく、その内容でファンの記憶に刻まれた退場劇もあります。例えば、交代出場からわずか数十秒で相手を蹴って退場になったスティーブン・ジェラード(リヴァプール対マンチェスター・ユナイテッド戦)の事例は有名です。

また、ニューカッスル時代のアラン・シアラーとロイ・キーンの衝突など、スター選手同士のプライドがぶつかり合った結果のレッドカードは、今でも語り草となっています。こうしたドラマもまた、プレミアリーグの一部と言えるでしょう。

VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)と退場判定の関係

2019-20シーズンからプレミアリーグに導入されたVARは、退場判定に大きな影響を与えています。テクノロジーは公平性をもたらした一方で、新たな議論も生んでいます。

VARが介入する「明白な間違い」とは

VARはすべてのプレーに介入するわけではありません。退場に関しては、「主審がレッドカードを見逃した場合」や「誤ってレッドカードを出した場合」など、「はっきりとした、明白な間違い(Clear and Obvious Error)」があったときにのみ介入します。

主審がイエローカードと判定したプレーでも、VARルームで映像を確認し「足裏が足首に入っており危険」と判断されれば、主審にオンフィールドレビュー(モニター確認)を促し、レッドカードに変更されることがあります。これにより、以前なら見逃されていた危険なタックルが厳格に処罰されるようになりました。

スローモーション映像が与える印象の弊害

VAR導入後の課題としてよく指摘されるのが、「スローモーションで見るとすべてが悪質に見えてしまう」という問題です。

通常スピードでは勢い余って接触しただけに見えるプレーでも、静止画やスロー映像で見ると、足が接触した瞬間のインパクトが強調され、意図的な踏みつけのように見えてしまうことがあります。解説者やファンからは「写真だけで判断すればレッドだが、サッカーの動きの中では避けられない接触だ」という声が上がることもあり、テクノロジーと実際の感覚の乖離が議論の的となっています。

2枚目のイエローカードにVARは介入できない

非常に重要なルールとして、VARは「2枚目のイエローカード」の判定には介入できないという決まりがあります。

つまり、1枚イエローを持っている選手が微妙なファウルをし、主審がそれを2枚目のイエロー(=退場)と判定した場合、たとえそれが誤審に見えたとしても、VARはそれを覆すことができません。VARが介入できるのは「一発レッド」のケースのみです。このルールにより、「あそこの判定でVARが使えれば退場にならなかったのに」という悔しい思いをするチームやファンが後を絶ちません。

日本人選手も巻き込まれた?近年の注目すべき退場事例

プレミアリーグで活躍する日本人選手たちも、この厳しい退場ルールの影響を受けています。ここでは、特に話題となった事例を紹介します。

冨安健洋選手の退場が物議を醸した理由

2023-24シーズンの第2節、クリスタル・パレス対アーセナル戦での冨安健洋選手の退場は、現地でも大きな波紋を呼びました。

冨安選手はスローインの際にボールを投げるまでに時間をかけすぎたとして、まず1枚目のイエローカード(遅延行為)を受けました。そのわずか数分後、相手選手が反転した際に軽くシャツに手をかけたとして2枚目のイエローを提示され、退場となりました。接触自体は非常に軽微だったため、「厳しすぎる」「1枚目の遅延行為も、チーム全体で時間を使っていたのに冨安だけが罰せられた」と、判定基準の一貫性を巡って多くの議論が巻き起こりました。これは「新ルールの厳格化」を象徴する出来事となりました。

三笘薫選手への危険なタックルと相手の退場

ブライトンで活躍する三笘薫選手は、その鋭いドリブル突破ゆえに、相手ディフェンダーから激しいファウルを受けることが頻繁にあります。

シェフィールド・ユナイテッド戦では、メイソン・ホルゲート選手から膝上への危険なタックルを受けました。当初、主審はイエローカードを提示しましたが、VARの介入により映像が確認され、一発レッドカードに変更されました。三笘選手が大怪我を負いかねないプレーだったため、VARが正しく機能して選手を守った事例として評価されましたが、同時にプレミアリーグの激しさと危険性を再認識させるシーンでもありました。

判定に対する監督やファンの反応

こうした退場劇が起きると、試合後の監督インタビューは大荒れになります。「審判が試合を壊した」「理解不能な判定だ」と怒りを露わにする監督もいれば、「ルールだから受け入れるしかない」と諦め顔の監督もいます。

ファンにとっても、応援するチームが不可解な判定で数的不利になることは最大のストレスです。しかし、逆に相手が退場して有利になることもあります。判定に一喜一憂し、試合後もSNSやパブで議論を戦わせる文化こそが、イングランドサッカーの熱量の一部なのかもしれません。

まとめ:プレミアリーグの退場ルールを知れば観戦がもっと面白くなる

まとめ
まとめ

プレミアリーグにおける「退場」は、単なる反則への罰則というだけでなく、試合のドラマを生み出す重要な要素です。

最後に、今回のポイントを振り返ります。

【記事の要点まとめ】

退場の種類:累積警告(イエロー2枚)、一発退場(危険なプレー)、DOGSO(決定機阻止)がある。

ルールの厳格化:遅延行為や異議に対するカードが急増しており、注意が必要。

出場停止:基本は1試合か3試合だが、悪質性によって延長される。

VARの限界:「一発レッド」には介入するが、「2枚目のイエロー」には介入できない。

なぜ主審があそこでカードを出したのか、なぜVARが介入したのか(あるいはしなかったのか)。その理由を知ることで、「不可解な判定」に見えていたものが、ルールの適用結果として理解できるようになります。

もちろん、理不尽に感じる瞬間もありますが、それも含めて世界最高峰のエンターテインメントです。次回の試合観戦では、ぜひ審判の動きやカードの行方にも注目してみてください。

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