プレミアリーグとプレミアシップの違いとは?呼び方が変わった理由と背景

プレミアリーグとプレミアシップの違いとは?呼び方が変わった理由と背景
プレミアリーグとプレミアシップの違いとは?呼び方が変わった理由と背景
海外サッカー事情

サッカーのニュースや記事を読んでいると、「プレミアリーグ」と「プレミアシップ」という2つの言葉を目にすることがありませんか?

「この2つは別のリーグなのかな?」「もしかして昔と今で名前が違うだけ?」と疑問に思う方も多いはずです。特に海外サッカーを最近見始めた方にとっては、どちらを使えばいいのか迷ってしまうポイントかもしれません。

実は、この2つの言葉には明確な「歴史的な背景」と「使い方のルール」が存在します。ここを理解すると、イングランドサッカーの歴史や現地の文化がより深く見えてきます。

この記事では、プレミアリーグとプレミアシップの違いについて、その成り立ちから現在の正しい使い分けまで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

プレミアリーグとプレミアシップの違いを基礎から解説

まずは、一番の疑問である「この2つは何が違うのか」という点について、結論からお話しします。複雑そうに見えますが、基本的な関係性は非常にシンプルです。

【結論】
サッカーのイングランド1部リーグという意味では、「プレミアリーグ」も「プレミアシップ」も同じものを指しています。

しかし、現在では「プレミアリーグ」と呼ぶのが正式であり、一般的です。では、なぜ2つの呼び名が存在しているのでしょうか。

結論:実は「同じリーグ」を指している

サッカーの文脈において、イングランドのトップリーグを指す場合、この2つの言葉は実質的に同じものを意味していました。1992年に設立されたイングランドのプロサッカー1部リーグがその対象です。

日本で例えるなら、「Jリーグ」と呼ぶか、スポンサー名を含めた「明治安田Jリーグ」と呼ぶかのような、名称の揺れに近い部分が過去にありました。つまり、リーグそのものの仕組みや所属チームが変わったわけではなく、単に「その時期にどう呼ばれていたか」という違いが大きいです。

ただし、現在の公的な場やニュースでは「プレミアリーグ(Premier League)」という名称のみが使われています。そのため、今から覚えるのであれば「プレミアリーグ」が正解です。

なぜ2つの呼び名が存在するのか?

2つの呼び名が存在する最大の理由は、かつての「スポンサー契約」にあります。リーグが発足した初期の頃、メインスポンサーの名前を冠した公式名称として「プレミアシップ(Premiership)」という単語が使われていた時期が長くありました。

特に1993年から2007年頃にかけては、公式ロゴやテレビ中継でも「Premiership」という文字が踊っていたため、当時のファンの間ではこの呼び方が完全に定着しました。その名残で、古くからのファンや一部のメディア記事では、今でも愛着を込めて、あるいは単なる癖で「プレミアシップ」と呼ぶことがあります。

言葉の響きとしても、「チャンピオンシップ(王座決定戦)」のような格調高さがあるため、イギリス国内では口語的に使われるケースがまだ残っているのです。

現在の正式名称は「プレミアリーグ」

現在、イングランドの1部リーグの正式名称は「プレミアリーグ(The Premier League)」です。スポンサー名は冠せず、シンプルにこの名前だけで運営されています。

2007年以降、リーグ側はブランディングの方針を少しずつ変更し、「プレミアシップ」という呼称を公式から外しました。さらに2016年からは、「特定のスポンサー名をリーグ名に入れない」という「クリーンブランド戦略」を採用しています。

これにより、世界中どこへ行っても「プレミアリーグ」という一つの強いブランド名で統一されるようになりました。現在、公式サイトや公式SNSを見ても「Premiership」という表記は一切使われていません。

日本での呼ばれ方と定着度

日本国内においても、現在は圧倒的に「プレミアリーグ」という呼び方が主流です。テレビのニュースやスポーツ新聞、ネット記事でもほとんどがこの表記で統一されています。

しかし、2000年代前半に海外サッカーに熱中した世代のファンや、当時の雑誌記事のアーカイブなどでは「プレミアシップ」という言葉が頻繁に出てきます。また、ベテランの解説者が放送中にふと「プレミアシップ」と口にすることもあります。

もし会話の中で「プレミアシップ」という言葉が出てきたら、「ああ、イングランド1部のことだな」と脳内で変換してしまって問題ありません。間違いではありませんが、少し「懐かしい呼び方」というニュアンスが含まれていると理解しておきましょう。

名称変更の歴史とスポンサーの関係

なぜ「プレミアシップ」という名前が生まれ、そして消えていったのでしょうか。その背景には、巨額のマネーが動くスポンサーシップの歴史が深く関わっています。

ここでは、年代ごとにリーグの名称がどう変わっていったのかを振り返ってみましょう。

1992年のリーグ創設と「プレミアシップ」の誕生

1992年、イングランドのサッカー界に革命が起きました。それまで100年以上続いてきた「フットボールリーグ」から、トップクラブたちが離脱する形で新しいリーグを設立したのです。これが現在のプレミアリーグの始まりです。

創設当初の1992-93シーズンは「FAプレミアリーグ」という名称でしたが、翌1993年からはビール会社のカーリング(Carling)がメインスポンサーにつきました。ここから「FAカーリング・プレミアシップ(FA Carling Premiership)」という名称が使われるようになります。

この「カーリング・プレミアシップ」の時代が約8年間と長かったため、「イングランド1部=プレミアシップ」という認識が世界中のファンの間に深く刻まれることになりました。マンチェスター・ユナイテッドが黄金期を築き始めたのも、まさにこの時代です。

バークレイズ銀行とのスポンサー契約時代

2001年からは、クレジットカード会社のバークレイカード(Barclaycard)が新たなスポンサーとなり、リーグ名は「バークレイカード・プレミアシップ」に変更されました。

さらに2004年からは、親会社であるバークレイズ銀行(Barclays)が直接スポンサーとなり、名称は「バークレイズ・プレミアシップ」へと変わります。この時期までは、まだ名称の末尾に「シップ(Premiership)」が使われていました。

この頃はアーセナルの無敗優勝(インビンシブルズ)や、ジョゼ・モウリーニョ監督率いるチェルシーの台頭など、リーグの勢力図が大きく変わった激動の時代でもあります。多くのファンにとって、「プレミアシップ」という響きは、こうした熱狂的な試合の記憶と共にあります。

2007年のブランド変更と「プレミアリーグ」への統一

大きな転換点となったのは2007-08シーズンです。スポンサーは引き続きバークレイズ銀行でしたが、リーグの正式名称が「バークレイズ・プレミアシップ」から「バークレイズ・プレミアリーグ(Barclays Premier League)」へと変更されました。

ここで公式に「シップ」が廃止され、「リーグ」へと統一されたのです。この変更の理由は、国際的なブランディングを強化するためと言われています。「プレミアシップ」という言葉はイギリス英語特有の響きがあり、世界市場(特にアメリカやアジア)に向けては、よりシンプルで分かりやすい「プレミアリーグ」の方が適していると判断されました。

これ以降、公式なロゴや放送上のグラフィックからも「Premiership」の文字は姿を消していくことになります。

2016年以降の「スポンサー名なし」戦略

そして2016-17シーズン、リーグはさらに大きな決断を下しました。長年続いた冠スポンサー制度を廃止し、企業名を入れない単なる「プレミアリーグ(Premier League)」とすることを発表したのです。

これは、アメリカの「NBA」や「NFL」のように、リーグ名そのものを純粋なブランドとして確立させるための戦略でした。ライオンのアイコンも、王冠を被ったライオンがボールに足を乗せている全身像から、ライオンの顔だけのモダンでシンプルなデザインに一新されました。

現在私たちが目にしている紫やネオンカラーを使ったスタイリッシュなロゴは、この時に生まれたものです。こうして名実ともに「プレミアシップ」の時代は終わり、「プレミアリーグ」としての新しい時代が完全に定着しました。

「プレミアシップ」という言葉が今も使われる理由

ここまで「今はプレミアリーグが正解」と説明してきましたが、実はまだ「プレミアシップ」という言葉が正しく使われる場面がいくつかあります。

これが混乱を招く原因の一つでもあるのですが、知っておくとニュースを見る際に勘違いを防ぐことができます。

英国現地のファンやメディアの慣習

まず一つ目は、単純に「昔からの呼び名が抜けない」というパターンです。特にイギリス現地のタブロイド紙(大衆紙)や、長年サッカーを見続けているファンの間では、いまだに「The Premiership」という表現が使われることがあります。

言葉というのは一度定着するとなかなか消えないものです。特に「プレミアシップ」という言葉には、「最高位の地位」というニュアンスが含まれており、リーグの威厳を表現するのに適した響きを持っています。

そのため、現地のパブでサッカー談義をする際や、カジュアルなブログ記事などでは、あえてこの古い呼び方を使う人もいます。これは間違いというよりは、一種の「愛称」や「口語表現」として残っていると考えてよいでしょう。

ラグビーの「プレミアシップ」との混同

これが最も注意すべきポイントです。実は現在、イギリスで公式に「プレミアシップ」と呼ばれているメジャーなスポーツリーグが存在します。それは「ラグビーユニオン」のトップリーグです。

正式名称を「ギャラガー・プレミアシップ・ラグビー(Gallagher Premiership Rugby)」と言います。イギリスにおいてラグビーはサッカーに次ぐ人気スポーツであり、ニュースで単に「プレミアシップの結果」と報じられた場合、サッカーではなくラグビーのことを指している可能性があります。

検索エンジンで「プレミアシップ」とだけ入力して検索すると、ラグビーの情報がたくさん出てくるのはこのためです。サッカーの情報を探すときは必ず「プレミアリーグ」と入力するようにしましょう。

スコットランドのリーグとの違い(スコティッシュ・プレミアシップ)

もう一つの紛らわしい存在が、お隣スコットランドのサッカートップリーグです。セルティックやレンジャーズが所属するこのリーグは、2013年に組織改編が行われ、それまでの「スコティッシュ・プレミアリーグ」から「スコティッシュ・プレミアシップ(Scottish Premiership)」へと名称変更されました。

つまり、イングランドとは逆の動きを見せたのです。イングランドが「シップ」を捨てて「リーグ」になったのに対し、スコットランドは「シップ」を採用しました。

【整理すると】
・イングランドの1部 = プレミアリーグ
・スコットランドの1部 = プレミアシップ

日本人選手が多く所属するセルティックの試合結果などで「プレミアシップ」という言葉を見かけたら、それはイングランドではなくスコットランドのリーグを指していることがほとんどです。

イングランド・フットボールリーグの階層構造を知ろう

言葉の違いをより明確にするために、イングランドサッカー界の全体像(ピラミッド構造)を少しだけ整理しておきましょう。

ここを理解すると、「プレミア」がいかに特別な存在であるかが分かります。

プレミアリーグ(1部)の仕組み

ピラミッドの頂点に君臨するのが、これまで解説してきた「プレミアリーグ」です。所属クラブ数は20チーム。8月から翌年5月にかけて、ホーム&アウェイ方式で全38試合を戦います。

このリーグは、下部リーグを統括する「イングリッシュ・フットボールリーグ(EFL)」からは独立した組織として運営されています。これにより、放映権料の分配やスポンサー契約などを独自に結ぶことができ、世界でも類を見ないほどの莫大な資金力を獲得することに成功しました。

下位3チームは、シーズン終了後に自動的に2部リーグへ降格となります。この降格はクラブにとって天国から地獄への落下を意味するため、残留争いは優勝争いと同じくらい熾烈なものになります。

チャンピオンシップ(2部)との関係

プレミアリーグのすぐ下に位置するのが、2部リーグに相当する「EFLチャンピオンシップ(EFL Championship)」です。ここでも「シップ」という言葉が出てくるので少しややこしいですが、こちらは2部リーグです。

「2部」と言ってもレベルは非常に高く、観客動員数は世界中の多くの1部リーグを凌駕します。全24チームで構成され、上位2チームがプレミアリーグへ自動昇格し、3位から6位までの4チームが残りの1枠をかけてプレーオフを戦います。

特にこの昇格プレーオフの決勝戦は「世界で最も高額な試合」と呼ばれています。勝てば来季からプレミアリーグの莫大な放映権料(数百億円規模)が約束されるためです。

リーグ1・リーグ2(3部・4部)の存在

チャンピオンシップの下には、3部に相当する「EFLリーグ1(League One)」、4部に相当する「EFLリーグ2(League Two)」が続きます。ここまでがプロフェッショナルリーグとして扱われます。

興味深いのは、この3部・4部の名称が「リーグ1」「リーグ2」となっている点です。かつてのトップリーグ(現在のプレミアリーグ)が抜けた後、かつての2部リーグが1部扱いのような名称に繰り上がった歴史があるため、このような少し紛らわしいナンバリングになっています。

これらのリーグも非常に地域密着型で人気があり、多くの熱狂的なサポーターに支えられています。

昇格と降格のドラマチックなシステム

イングランドサッカーの最大の魅力は、このピラミッド間での流動性です。どんなに小さな町のクラブでも、勝ち続ければいつかはマンチェスター・シティやリヴァプールと同じピッチで戦う「プレミアリーグ」への道が開かれています。

逆に、かつての名門クラブであっても、経営に失敗したり成績が低迷したりすれば、容赦なくチャンピオンシップ、あるいはリーグ1へと転落していきます。

「プレミアリーグ」という名称には、単なる1部リーグという意味以上に、この過酷な生存競争を勝ち抜いた選ばれし20クラブだけが立てる「最高峰の舞台」という重みが込められているのです。

プレミアリーグをもっと楽しむための豆知識

最後に、現在のプレミアリーグをより楽しむために知っておきたい、いくつかのキーワードをご紹介します。

これらを知っていると、なぜこのリーグが「世界最高」と呼ばれるのか、その理由がよくわかります。

ビッグ6と呼ばれる強豪クラブたち

プレミアリーグには「ビッグ6」と呼ばれる6つの超強豪クラブが存在します。以下の6チームです。

・マンチェスター・シティ
・アーセナル
・リヴァプール
・マンチェスター・ユナイテッド
・チェルシー
・トッテナム・ホットスパー

かつては「ビッグ4」と呼ばれた時代もありましたが、マンチェスター・シティとトッテナムが力をつけ、現在は6強の時代と言われています。しかし近年では、ニューカッスルやアストン・ヴィラといったクラブも巨額の投資や的確な補強で力をつけており、ビッグ6の構図さえも崩れつつあるのが面白いところです。

世界最高峰の放映権料と資金力

プレミアリーグが他のヨーロッパのリーグ(スペイン、イタリア、ドイツなど)と一線を画すのは、その圧倒的な「資金力」です。世界中のテレビ局や配信サービスが放映権を購入しており、その収益は各クラブに分配されます。

特筆すべきは、最下位で降格するチームでさえ、他国の優勝クラブに匹敵するような分配金を受け取れるという点です。これにより、下位チームでも各国の代表クラスの選手を獲得することができ、リーグ全体のレベルが底上げされています。

「どの試合を見てもハズレがない」「下位チームが上位チームを倒す番狂わせ(ジャイアントキリング)が頻繁に起きる」というエンターテインメント性の高さは、この公平な資金分配システムによって支えられています。

日本人選手たちの活躍と影響

かつては日本人選手にとって「鬼門」と言われたプレミアリーグですが、近年はその状況が大きく変わりました。

三笘薫選手(ブライトン)がドリブルで相手ディフェンダーを翻弄し、冨安健洋選手(アーセナル)が高い守備能力で評価され、遠藤航選手(リヴァプール)が名門の中盤を支えるなど、日本代表の主力たちがリーグの中で重要な役割を果たしています。

また、2部のチャンピオンシップでも多くの日本人選手がプレーしており、プレミアリーグ昇格を目指して日々激しい戦いを繰り広げています。彼らの活躍によって、日本国内でのプレミアリーグへの注目度はかつてないほど高まっています。

まとめ:プレミアリーグとプレミアシップの違い

まとめ
まとめ

今回の記事では、プレミアリーグとプレミアシップの違いについて、歴史的な背景や現在の状況を詳しく解説してきました。最後に要点を振り返りましょう。

まず最も重要な点は、サッカーのイングランド1部リーグを指す場合、この2つは実質的に同じものを意味しているということです。

その上で、以下のように使い分けるのが正解です。

  • プレミアリーグ:現在の正式名称。普段はこちらを使えば間違いありません。
  • プレミアシップ:かつてのスポンサー契約時代の呼び名。現在はラグビーのトップリーグや、スコットランドのリーグを指すことが一般的です。

もし古い記事やベテランファンの会話で「プレミアシップ」という言葉が出てきても、それは「昔の呼び名」や「愛着を込めた表現」であると理解しておけば、混乱することはありません。

世界最高の強度とエンターテインメント性を誇るプレミアリーグ。名称の歴史を知ることで、その華やかな舞台の裏側にある変遷や文化を、より深く楽しめるようになるはずです。

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