プレミアリーグの試合を観戦していると、「今のプレーでイエローカード!」といった場面によく遭遇しますよね。1試合に1枚ならまだしも、2枚目となるとどうなるのか、あるいはシーズンを通して何枚ももらうとどうなるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。実は、プレミアリーグには独自のイエローカードに関するルールが存在し、選手の出場停止に大きく関わってきます。
この記事では、サッカーを最近見始めた方にも分かりやすく、プレミアリーグでのイエローカード2枚の意味から、シーズンを通しての累積警告による出場停止の仕組みまで、詳しく解説していきます。このルールを知ることで、試合の駆け引きや監督の選手交代の意図がより深く理解でき、プレミアリーグ観戦がさらに面白くなること間違いなしです。
プレミアリーグでイエローカード2枚は即出場停止!基本的なルールを解説
まず、最も基本的なルールからご説明します。プレミアリーグの試合中に、一人の選手がイエローカードを2枚提示されるとどうなるのでしょうか。これは非常に重要なルールですので、しっかりと押さえておきましょう。
1試合でイエローカード2枚=レッドカード
サッカーのルールでは、1試合の中で同じ選手に2枚のイエローカードが提示された場合、それはレッドカードと同じ扱いになります。 審判は2枚目のイエローカードを提示した後、続けてレッドカードを提示し、その選手は退場処分となります。
一度退場を命じられた選手は、その試合に再び出場することはできません。また、交代選手を入れることも認められないため、チームは残りの時間を一人少ない人数で戦わなければならなくなります。 これはチームにとって戦術的に非常に大きな痛手となります。
出場停止になる試合は?
1試合でイエローカードを2枚もらって退場(累積退場)となった場合、その選手は次の1試合が出場停止となります。 例えば、土曜日のリーグ戦で退場になった場合、次の週に行われるリーグ戦には出場できません。
イエローカードとレッドカードの違い
ここで、イエローカードとレッドカードの基本的な違いを整理しておきましょう。
カードの種類 | 意味 | 主な対象行為 | 試合への影響 | 試合後の影響 |
---|---|---|---|---|
イエローカード | 警告 | 反スポーツ的行為、無謀なプレー、意図的な時間稼ぎなど | プレーは続行可能 | シーズンを通して累積される |
レッドカード | 退場 | 著しく不正なプレー、暴力行為、決定的な得点機会の阻止、同じ試合で2枚目の警告など | 即時退場となり、チームは1人少ない状態で戦う | 最低1試合の出場停止 |
このように、イエローカードはあくまで「警告」ですが、それが2枚重なると「退場」という非常に重い処分に変わるのです。
イエローカードの累積による出場停止ルール
1試合に2枚のイエローカードで退場・出場停止になるルールに加え、プレミアリーグにはシーズンを通してイエローカードが溜まっていくことによる出場停止ルール、通称「累積警告」が存在します。 これが少し複雑で、プレミアリーグ特有のルールとなっています。
プレミアリーグ独自の「累積警告」ルールとは?
プレミアリーグでは、シーズン中に選手が受けたイエローカードの枚数が特定の数に達すると、出場停止処分が科せられます。 このルールは、シーズンを特定の期間で区切り、その期間内での累積枚数によって出場停止試合数が変わるという特徴があります。 シーズンを通してフェアプレーを促すための重要なルールです。
累積5枚、10枚、15枚…出場停止になる試合数は?
出場停止となるイエローカードの枚数と試合数は、シーズンがどの段階にあるかによって変動します。
節 | 累積イエローカード枚数 | 出場停止試合数 |
---|---|---|
第1節~第19節 | 5枚 | 1試合 |
第1節~第32節 | 10枚 | 2試合 |
第1節~第38節(シーズン終了まで) | 15枚 | 3試合 |
ポイント
- シーズン最初の19試合(リーグ戦の半分)が終わるまでにイエローカードを5枚もらうと、次の1試合が出場停止になります。
- 32節が終わるまでに累積10枚に達してしまうと、次の2試合が出場停止となります。
- そして、シーズンが終了するまでに累積15枚に達した場合は、3試合の出場停止処分が科されます。
このルールがあるため、特にシーズン中盤から終盤にかけてイエローカードが溜まっている選手は、一枚のカードが命取りになる可能性があり、より慎重なプレーが求められます。
警告数がリセットされるタイミング
多くの人が勘違いしやすい点ですが、プレミアリーグの累積警告はシーズンが終了するまでリセットされることはありません。
ただし、出場停止の基準となる節(19節と32節)を、基準枚数に達さずにクリアした場合は、その時点での出場停止は免れます。
例えば、19節終了時点でイエローカードが4枚だった選手は、5枚による1試合の出場停止にはなりません。しかし、その4枚が消えるわけではなく、次に目指す基準は「32節までに10枚」となります。その4枚に加えて、32節までにさらに6枚のイエローカードをもらうと、合計10枚となり2試合の出場停止処分を受けます。
FAカップやカラバオカップでの警告はどうなる?
プレミアリーグの選手たちは、リーグ戦以外にもFAカップやカラバオカップ(リーグカップ)といった国内カップ戦を戦います。 では、これらのカップ戦で受けたイエローカードは、プレミアリーグの累積に影響するのでしょうか。
大会ごとに警告は独立している
結論から言うと、イエローカードの累積は、各大会で独立してカウントされます。
- プレミアリーグで受けたイエローカード
- FAカップで受けたイエローカード
- カラバオカップで受けたイエローカード
これらはそれぞれ別々に数えられます。つまり、プレミアリーグで4枚イエローカードを もらっている選手が、FAカップで1枚もらっても、プレミアリーグでの累積は4枚のままです。FAカップでは2枚たまると次のFAカップの試合が出場停止になる、というように大会ごとのルールが適用されます。
レッドカードによる出場停止は他大会へも影響
イエローカードの累積は大会ごとに独立していますが、レッドカードによる出場停止処分は例外です。
例えば、プレミアリーグの試合でレッドカードを受けて3試合の出場停止処分になった場合、その後の試合がFAカップ、カラバオカップ、プレミアリーグの順であれば、その3試合すべてに出場できなくなります。 これは非常に重要なルールで、チームのメンバー構成に大きな影響を与えます。
異なる大会のルールを比較
イングランドの主要な国内大会における、カードに関するルールの違いを簡単にまとめてみましょう。
大会名 | イエローカード累積の扱い | レッドカードによる出場停止の扱い | 特徴 |
---|---|---|---|
プレミアリーグ | リーグ内でのみ累積。19節までに5枚、32節までに10枚など段階的な出場停止ルールがある。 | 国内の全公式戦に適用される。 | 長丁場のリーグ戦のため、累積警告の管理が重要になる。 |
FAカップ | FAカップ内でのみ累積。2枚で次戦出場停止。 | 国内の全公式戦に適用される。 | プロからアマチュアまで参加する伝統ある大会。 |
カラバオカップ | カラバオカップ内でのみ累積。 | 国内の全公式戦に適用される。 | プレミアリーグとEFL所属クラブが参加するカップ戦。 |
このように、大会ごとにルールが異なるため、選手や監督はそれぞれの大会のレギュレーションを正確に把握しておく必要があります。
知っておきたいイエローカードの豆知識
ここまでプレミアリーグの出場停止ルールについて解説してきましたが、さらにサッカー観戦が楽しくなるような、イエローカードに関する豆知識をいくつかご紹介します。
監督やコーチも警告の対象に
2019-2020シーズンから、プレミアリーグでは選手だけでなく、監督やコーチといったテクニカルエリア(ベンチ周辺)にいるスタッフにもイエローカードやレッドカードが提示されるようになりました。
過度な抗議やリスペクトを欠いた言動、あるいはテクニカルエリアを頻繁に出るなどの行為に対して警告が与えられます。そして、監督やコーチもイエローカードがシーズンで累積し、4枚たまると1試合のベンチ入り停止処分が科されるなど、選手と同様のルールが適用されます。 試合中、テクニカルエリアでの監督の振る舞いに注目してみるのも面白いかもしれません。
イエローカードが出されやすい反則行為
イエローカードは、サッカーの競技規則で「反スポーツ的行為」に対して提示されると定められています。具体的には、以下のようなプレーが対象となります。
- 無謀なタックル: ボールではなく相手選手への危険なタックル。
- シミュレーション: ファウルをもらうために意図的に倒れる行為(ダイブ)。
- 決定的なチャンスの阻止: プロフェッショナルファウルとも呼ばれ、相手の大きなチャンスを反則で止める行為。
- 異議・抗議: 審判の判定に対して執拗に抗議する。
- 遅延行為: スローインやフリーキックの際に時間を稼ぐ行為。
最近のプレミアリーグでは、特に時間稼ぎや審判への過度な抗議に対して厳しくカードを出す傾向にあります。 試合の流れをスムーズにするための措置ですが、これによりカードが乱発される試合も増えています。
過去にあった有名な累積警告の事例
プレミアリーグの歴史を振り返ると、累積警告によって重要な試合を欠場したスター選手も少なくありません。例えば、激しいプレースタイルで知られる守備的な選手は、シーズンを通して多くのイエローカードをもらう傾向にあります。
また、得点王ランキングの上位にいるような攻撃的な選手であっても、シーズン終盤に優勝が懸かった大一番を累積警告で出場停止になってしまうケースもあります。 このように、イエローカードの累積は時にリーグの優勝争いや残留争いの行方をも左右する、重要な要素の一つなのです。ファンとしては、ひいきの選手がカードトラブルを避けられるよう、毎試合ハラハラしながら見守ることになります。
まとめ:プレミアリーグのイエロー2枚と累積での出場停止ルールを再確認
今回は、プレミアリーグにおけるイエローカードと出場停止のルールについて、詳しく解説しました。最後に、この記事の重要なポイントを振り返ってみましょう。
- 1試合でイエローカード2枚はレッドカードとなり、その選手は即退場、そして次の1試合が出場停止になります。
- プレミアリーグではシーズンを通してイエローカードが累積され、19節までに5枚で1試合、32節までに10枚で2試合の出場停止処分が科せられます。
- イエローカードの累積はプレミアリーグ、FAカップ、カラバオカップでそれぞれ独立してカウントされます。
- ただし、レッドカード(イエロー2枚による退場も含む)による出場停止は、国内の全公式戦に適用されます。
- 選手だけでなく、監督やコーチも警告の対象となります。
これらのルールを頭に入れておくことで、選手交代の意図や試合終盤の選手のプレー選択など、これまでとは違った視点でプレミアリーグの試合を楽しめるようになるはずです。一枚のイエローカードが、個人だけでなくチーム、そしてシーズン全体の行方にまで影響を与える。それがサッカーの奥深さであり、面白さの一つと言えるでしょう。
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