プレミアリーグのレッドカードは何試合出場停止?反則別のルールや累積をわかりやすく解説

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サッカー観戦の熱が高まる中、試合の流れを大きく左右するのが「レッドカード」です。特に、世界的スターが集うイングランド・プレミアリーグでは、激しいプレーからレッドカードが提示される場面も少なくありません。

好きなチームの選手が退場になってしまった時、「一体何試合出場できなくなるの?」と気になった経験はありませんか? プレミアリーグにおけるレッドカードのルールは、実は反則の内容によって出場停止の試合数が変わるなど、少し複雑です。例えば、同じ一発退場でも、プレーの悪質さによって1試合の停止で済む場合もあれば、3試合以上も出場できなくなるケースもあります。

この記事では、そんなプレミアリーグのレッドカードに関するルールを、サッカー初心者の方にも理解しやすいように、具体的な反則の種類やイエローカードの累積ルールとあわせて、やさしく解説していきます。ルールを知れば、観戦がもっと面白くなること間違いなしです!

 

プレミアリーグのレッドカード、出場停止は何試合?

プレミアリーグで選手がレッドカードを受けると、その選手は即座にピッチを離れなければならず、チームは残りの時間を一人少ない人数で戦うことになります。そして、退場した選手には次の試合以降の出場停止という追加のペナルティが科せられます。この出場停止試合数は、レッドカードに至った経緯によって異なります。

基本は「退場」になった行為で試合数が決まる

レッドカードが提示される状況は、大きく分けて2つあります。一つは、1試合の中でイエローカードを2枚もらい、結果的に退場となるケース。もう一つは、非常に危険なプレーや悪質な反則によって、一発でレッドカードが提示されるケースです。

出場停止の試合数は、このどちらのケースか、そして一発レッドの場合はどのような反則だったのかによって、イングランドサッカー協会(FA)の規定に基づき決定されます。単純な退場であれば短い停止期間で済みますが、悪質な行為と判断されると、より長い期間チームを離れることになります。

イエローカード2枚での退場

1つの試合中にイエローカードを2枚提示されたことによる退場は、レッドカードの中でも比較的軽い処分と見なされます。この場合、科される出場停止は原則として次の1試合です。

例えば、前半に不用意なファウルで1枚目のイエローカードを受け、後半に再び反則を犯して2枚目のイエローカードを提示されると、その時点で退場となります。この場合、選手は次のリーグ戦、あるいはFAカップやカラバオカップといった国内カップ戦のいずれか直近の公式戦1試合に出場できなくなります。

ただし、注意点として、この退場によって累積されたイエローカードが消えるわけではありません。シーズンを通してイエローカードの枚数はカウントされ続け、規定の枚数に達すると別途出場停止処分が科せられます。

一発レッドカードでの退場

一方で、一度のプレーで直接レッドカードが提示される「一発レッド」の場合は、反則の悪質性が高いと判断されたことを意味します。そのため、出場停止試合数もイエローカード2枚による退場より重くなるのが一般的です。

基本的な一発レッドカードによる出場停止は最低でも1試合ですが、その反則内容によって試合数は大きく変動します。 例えば、プロフェッショナルファウルと呼ばれるプレーでは1試合の出場停止ですが、乱暴な行為や暴力行為と見なされると、その期間はさらに長くなります。 次の章では、この一発レッドカードの具体的な反則内容と、それに対応する出場停止試合数について、より詳しく見ていきましょう。

反則の悪質さで変わる!一発レッドの出場停止試合数

一発レッドカードと一括りに言っても、その理由は様々です。決定的なチャンスを不正に阻止するプレーから、相手選手を危険にさらすような悪質なプレーまで、その内容は多岐にわたります。プレミアリーグでは、これらの反則の重大さに応じて、出場停止の試合数を細かく定めています。

DOGSO(決定的な得点機会の阻止)の場合

サッカーファンなら「DOGSO(ドグソ)」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。これは “Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity” の略で、「決定的な得点機会の阻止」を意味します。 具体的には、相手がまさにゴールを決めようとしている決定的な瞬間を、ファウルで止めてしまった場合に適用されます。

DOGSOと判断されるには、以下の4つの条件をすべて満たしている必要があります。

  • 反則とゴールの距離
  • 全体的なプレーの方向(ゴールに向かっているか)
  • ボールをキープまたはコントロールできる可能性
  • 守備側競技者の位置と数

これらの条件を満たす反則を犯した場合、原則としてレッドカードが提示され、1試合の出場停止となります。 ただし、ペナルティエリア内でボールにチャレンジしようとした結果のファウルでDOGSOとなった場合は、PKが与えられるため、レッドカードではなくイエローカードに軽減されるというルール改正も行われています。

著しく不正なプレーの場合

「著しく不正なプレー」とは、相手選手の安全を脅かすような、非常に危険なタックルやプレーを指します。ボールに対してプレーしているものの、過剰な力でいったり、無謀なタイミングでタックルに入ったりした場合に適用されます。

例えば、スパイクの裏を見せた足でのタックルや、相手のすねや足首を狙うような危険なチャレンジがこれにあたります。このようなプレーは、相手選手に深刻な怪我を負わせる可能性が非常に高いため、悪質と判断されます。

このような「著しく不正なプレー」によって一発レッドカードを受けた場合、出場停止は原則として3試合となります。 選手の安全を守るという観点から、厳しい処分が科されるのです。

暴力行為の場合

サッカーのルールにおいて最も重い反則の一つが「暴力行為」です。これは、プレーに関係のないところで相手選手を殴る、蹴る、あるいは頭突きをするなどの行為を指します。また、選手だけでなく、審判や相手チームのスタッフ、さらには観客に対して唾を吐きかけるといった行為も、同様に暴力行為と見なされます。

これらの行為は、スポーツマンシップに著しく反するものであり、絶対に許されるものではありません。そのため、処分も非常に重く設定されています。

暴力行為によってレッドカードを受けた場合、最低でも3試合の出場停止が科せられます。 さらに、行為が悪質であると判断された場合には、イングランドサッカー協会(FA)の規律委員会による調査が入り、3試合を超える長期の出場停止や、罰金が科されることも珍しくありません。

反則の種類 主な内容 出場停止試合数(目安)
DOGSO 決定的な得点機会の阻止 1試合
著しく不正なプレー 相手を危険にさらすタックルなど 3試合
暴力行為 殴る、蹴る、唾を吐きかけるなど 3試合以上

レッドカードだけじゃない!イエローカードの累積にも注意

プレミアリーグでは、レッドカードによる一発退場だけでなく、シーズンを通してイエローカードが積み重なることによる出場停止処分も存在します。1試合ごとのファウルは退場に値しなくても、警告が重なればチームに迷惑をかけてしまうのです。このルールは、特定の節までの枚数で区切られているのが特徴です。

シーズン19試合までのイエローカード5枚

まず、シーズンが開幕してから各チームが19試合を消化するまでの期間が最初の区切りとなります。 プレミアリーグは全20チームで38試合を戦うため、ちょうどシーズンの半分にあたります。

この期間内にイエローカードの累計が5枚に達してしまった選手は、次の1試合が出場停止となります。 シーズン序盤は特に、激しいポジション争いやチーム戦術への適応などで警告を受けやすい時期でもあり、多くの選手がこのルールによって出場停止を経験します。19試合を終えた時点で累計が4枚以下だった場合、この「5枚での出場停止」は一旦リセットされます。

シーズン32試合までのイエローカード10枚

シーズンが中盤から終盤へと差し掛かる32試合目までが、次の区切りです。この時点までに、シーズンを通してのイエローカード累計が10枚に達した選手は、2試合の出場停止という、より重いペナルティが科せられます。

優勝争いや残留争いが激化してくるシーズン終盤において、主力選手が2試合も離脱するのはチームにとって大きな痛手となります。そのため、すでに警告を多く受けている選手は、カードをもらわないように、より慎重なプレーを心がける必要が出てきます。32試合を終えた時点で9枚以下であれば、この「10枚での出場停止」を回避できます。

シーズン通してのイエローカード15枚

シーズン最終節までの全38試合を通して、イエローカードの累計が15枚に達した場合は、3試合の出場停止となります。 シーズン終盤にこれだけの警告を受ける選手は稀ですが、もし達成してしまった場合、シーズンの残り試合に出場できないだけでなく、場合によっては翌シーズンにまで出場停止が持ち越される可能性もあります。

プレミアリーグのイエローカード累積ルール

  • 19試合消化までに5枚 → 1試合出場停止
  • 32試合消化までに10枚 → 2試合出場停止
  • シーズン終了までに15枚 → 3試合出場停止

このように、イエローカードの累積ルールはシーズンを通して選手にフェアプレーを促すための重要な仕組みとなっています。

出場停止はどの試合に適用される?

レッドカードやイエローカードの累積によって出場停止処分が科された場合、選手はどの試合に出場できなくなるのでしょうか。プレミアリーグだけでなく、FAカップやカラバオカップ(リーグカップ)など、イングランド国内には複数の大会が存在するため、その適用範囲はファンにとっても気になるところです。

リーグ戦、カップ戦への影響範囲

プレミアリーグでの退場や警告累積による出場停止は、プレミアリーグの試合だけに限定されません。FAカップやカラバオカップといった、イングランドサッカー協会(FA)が管轄する国内の公式戦すべてが対象となります。

例えば、土曜日に行われたプレミアリーグの試合でレッドカードを受けて3試合の出場停止処分になったとします。もし、その次の週のミッドウィークにカラバオカップの試合があれば、そのカップ戦が消化すべき出場停止の1試合目としてカウントされます。そして、残りの2試合をその後のプレミアリーグの試合で消化していく、という形になります。

これにより、選手はどの大会であっても、犯した反則に対する責任を負うことになります。チームにとっては、リーグ戦だけでなくカップ戦の戦い方にも影響を及ぼす重要な要素です。

異なる大会間での適用のされ方

出場停止の適用は、あくまでイングランド国内の大会に限られます。そのため、プレミアリーグでのレッドカードによる出場停止が、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)といったヨーロッパのカップ戦に直接影響することはありません

逆も同様で、チャンピオンズリーグで受けたレッドカードによる出場停止は、その後のチャンピオンズリーグの試合にのみ適用され、プレミアリーグの試合には出場できます。大会の主催者が異なるため、懲罰規定も別々に管理されているのです。

これにより、「リーグ戦では出場停止中だが、CLには出場できる」といった状況が生まれることもあります。ただし、非常に悪質な行為であった場合などは、FAからUEFA(欧州サッカー連盟)へ報告がなされ、別途UEFAから処分が下される可能性もゼロではありません。

シーズンをまたぐ場合のルール

シーズン最終戦などでレッドカードを受けたり、イエローカードの累積による出場停止処分が科されたりして、そのシーズン中に出場停止を消化しきれなかった場合はどうなるのでしょうか。

この場合、消化しきれなかった出場停止は翌シーズンに持ち越されます。例えば、最終節に一発レッドを受けて3試合の出場停止処分が確定した場合、その選手は来シーズンの開幕戦から3試合、ピッチに立つことができません。

これはチームにとって、新シーズンのスタートダッシュに大きく影響する可能性があります。特に主力選手がシーズンの最後に不要なカードをもらってしまうことは、チーム全体として避けたい事態と言えるでしょう。シーズン最終盤の戦いでは、来シーズンを見据えた規律あるプレーも求められるのです。

判定に不服な場合のアピール制度

審判の判定は絶対ですが、時にはレッドカードの判定に対してクラブや選手が納得できないケースもあります。そのような場合に備えて、プレミアリーグには判定に対して異議を申し立てる「アピール」という制度が存在します。しかし、この制度は万能ではなく、認められるケースは限られており、時にはリスクも伴います。

アピール(異議申し立て)とは?

アピールとは、レッドカードの判定が誤りであるとクラブが考えた場合に、イングランドサッカー協会(FA)の独立規律委員会に対して、判定の取り消しや処分の軽減を公式に求める手続きのことです。

クラブは、試合の映像など客観的な証拠を添えて、なぜその判定が不当であるかを主張します。例えば、「実際には相手選手に接触していなかった」「ボールに正当にチャレンジした結果であり、危険なプレーではなかった」といった理由が挙げられます。アピールが提出されると、独立した委員会がそのプレーを再審議し、判定が妥当であったかを判断します。

アピールが認められるケースと棄却されるケース

アピールが成功し、レッドカードが取り消されるケースも実際に存在します。委員会が「明らかに審判の判定が誤りであった」と判断した場合、レッドカードそのものが撤回され、出場停止処分もなくなります。これにより、選手は次の試合から出場することが可能になります。

一方で、アピールが棄却されるケースも少なくありません。委員会が映像などを検証した結果、「主審の判定は妥当であった」と結論付けた場合、元々の出場停止処分がそのまま適用されます。 審判の判断を覆すには、非常に明確な証拠が必要となるため、アピールが認められるハードルは決して低くはありません。

アピールが失敗した際のリスク

アピール制度で最も注意すべき点は、失敗した際にペナルティが追加されるリスクがあることです。

もし、FAの委員会が提出されたアピールを「根拠が乏しい」「 frivolous(軽薄)である」と判断した場合、元々の出場停止試合数に追加で試合が上乗せされる可能性があります。これは、不当なアピールの乱用を防ぐための措置です。

例えば、3試合の出場停止処分に対してアピールを行い、これが根拠のないものと見なされた場合、出場停止が4試合に延長される、といった事態も起こり得ます。そのため、クラブはアピールを行うかどうかを、成功の可能性とリスクを天秤にかけ、慎重に判断する必要があるのです。

まとめ:プレミアリーグのレッドカードと出場停止を理解して観戦をより深く

この記事では、「プレミアリーグでレッドカードが出たら何試合出場停止になるのか」という疑問について、様々な角度から解説してきました。最後に、重要なポイントを振り返ってみましょう。

  • イエローカード2枚での退場は、原則1試合の出場停止。
  • 一発レッドカードは反則内容で試合数が変わり、決定機阻止(DOGSO)なら1試合、危険なプレーや暴力行為なら3試合以上の出場停止となる。
  • レッドカードとは別に、イエローカードの累積でも出場停止になる。19節までに5枚で1試合、32節までに10枚で2試合の停止。
  • 出場停止はリーグ戦だけでなく、FAカップなど国内のカップ戦にも適用される。
  • 判定に不服な場合はアピールできるが、失敗すると処分が重くなるリスクもある。

プレミアリーグのレッドカードに関するルールは、一見複雑に感じるかもしれませんが、その背景には選手の安全を守り、フェアプレーを促進するという大切な目的があります。出場停止のルールを理解することで、なぜ選手がカードを警戒するのか、一つの退場がチームにどれだけ大きな影響を与えるのかが、より深くわかるようになるはずです。

次にあなたがプレミアリーグを観戦するとき、審判がカードを提示する場面があったら、ぜひこの記事の内容を思い出してみてください。そのワンプレーが、今後の試合展開やチームの戦略にどう関わってくるのかを予測しながら見ることで、サッカー観戦がさらにエキサイティングで奥深いものになるでしょう。

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