サッカー観戦をしていると、「ドッピエッタ」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。実況者が興奮気味にこの言葉を叫ぶとき、それは試合の大きな見せ場が訪れた証拠です。ドッピエッタとは、1人の選手が1試合に2得点を決めることを意味するサッカー用語です。
特に、サッカーの本場イタリアのリーグ戦に関するニュースなどでよく使われます。 この記事では、ドッピエッタの語源や、よく知られている「ハットトリック」との違い、さらにはその他の得点に関する用語まで、サッカー観戦がもっと楽しくなる知識をわかりやすく解説していきます。ドッピエッタの意味を知ることで、選手のすごさや試合の展開をより深く理解できるようになるでしょう。
ドッピエッタとは?基本的な意味を解説
サッカーの試合を彩るゴールの瞬間。その中でも、一人の選手が立て続けに得点を決めると、スタジアムの興奮は最高潮に達します。ここでは、そんな特別な状況を表す「ドッピエッタ」という言葉の基本的な意味やその背景について掘り下げていきましょう。
1試合で2得点を挙げること
ドッピエッタとは、シンプルに「1人の選手が1つの試合で2得点を記録すること」を指します。 サッカーは1点を争うスポーツであり、1試合で1人の選手が2点も取ることは、試合の結果を大きく左右する非常に価値のあるプレーです。
例えば、0-1で負けている状況で、ある選手が一人で2得点を挙げてチームを逆転勝利に導いた場合、その選手はまさにヒーローと言えるでしょう。このように、ドッピエッタは個人の高い得点能力を示すと同時に、チームへの大きな貢献を意味する言葉なのです。
日本のJリーグではあまり頻繁に使われる言葉ではありませんが、海外、特にヨーロッパのサッカー中継やニュースでは頻繁に耳にする用語です。
ドッピエッタの語源はイタリア語
「ドッピエッタ」という響きから、ヨーロッパの言葉だと感じた方も多いのではないでしょうか。その通り、この言葉はイタリア語が語源です。
イタリア語で「2」や「ダブル」を意味する「doppio(ドッピオ)」という言葉が元になっています。 これに、小さいものや一部分を表す接尾辞「-etta」がついて「doppietta」となりました。まさに「2つのもの」といったニュアンスで、サッカーの文脈で「2得点」を意味するようになったのです。
サッカー王国イタリアで生まれた言葉であることからも、その文化的な背景がうかがえます。イタリアのセリエAの試合を見ていると、現地の実況者がこの言葉を情熱的に叫ぶのを聞くことができるでしょう。
なぜ「ドッピエッタ」と呼ばれるのか?
日本では1試合3得点を「ハットトリック」と呼ぶのが一般的ですが、2得点に対する特別な呼び方はありません。 しかし、イタリアをはじめとするサッカー強豪国では、2得点を挙げることにも特別な敬意が払われ、独自の呼称が存在します。
ちなみに、他の国でも2得点を表す言葉があり、それぞれ独自の呼び方をしています。 サッカー文化が根付いている国ほど、こうした専門用語が豊かになる傾向があるのは興味深い点です。
ドッピエッタと他の得点記録との違い
ドッピエッタが1試合2得点を指すことは分かりましたが、サッカーには他にも得点数に応じた様々な呼び方が存在します。特に有名な「ハットトリック」とはどう違うのでしょうか。ここでは、ドッピエッタと他の得点記録との違いを明確にしながら、サッカーの得点に関する用語を整理していきます。
「ハットトリック」との明確な違い
サッカーファンなら一度は聞いたことがあるであろう「ハットトリック」。これは、1人の選手が1試合で3得点を決めることを指す言葉です。 ドッピエッタが「2得点」であるのに対し、ハットトリックは「3得点」であり、これが両者の明確な違いです。
用語 | 1試合での得点数 |
---|---|
ドッピエッタ | 2得点 |
ハットトリック | 3得点 |
ハットトリックの語源はサッカーではなく、実はクリケットというスポーツに由来します。 投手が3人連続で打者をアウトにするという偉業を達成した際に、その功績を称えて帽子(ハット)が贈られたことから「ハットトリック」と呼ばれるようになったと言われています。 この言葉が、やがてサッカーなど他のスポーツでも使われるようになりました。
ドッピエッタもハットトリックも、達成することが非常に難しい記録であり、達成した選手は試合の主役として大きな称賛を浴びます。
1得点を意味する「ゴラッソ」とは?
ドッピエッタやハットトリックが「得点の数」に関する言葉であるのに対し、「ゴラッソ(Golazo)」は「得点の質」を表す言葉です。
ゴラッソはスペイン語で、「素晴らしいゴール」や「スーパーゴール」を意味します。 例えば、意表を突くようなロングシュートや、華麗なドリブルから生まれたゴール、アクロバティックなボレーシュートなど、観客が思わず息をのむような美しいゴールに対して使われます。
つまり、1試合で1点しか決めていなくても、そのゴールが非常に素晴らしいものであれば「ゴラッソ!」と称賛されるのです。ドッピエッタを達成したゴールのうちの1点がゴラッソである、ということももちろんあり得ます。
4得点以上の呼び方は?
ドッピエッタ(2得点)、ハットトリック(3得点)とくれば、それ以上の得点にも呼び方があるのか気になるところでしょう。実は、国や地域によって様々な呼び名が存在します。
以下に、主に使われる呼び方をまとめました。
得点数 | 英語圏 | イタリア語 | スペイン語 | ドイツ語 |
---|---|---|---|---|
2得点 | Brace (ブレイス) | Doppietta (ドッピエッタ) | Doblete (ドブレーテ) | Doppelpack (ドッペルパック) |
3得点 | Hat-trick (ハットトリック) | Tripletta (トリプレッタ) | Tripleta (トリプレタ) | Dreierpack (ドライアーパック) |
4得点 | Haul (ホール) | Poker (ポーカー) | Poker (ポーカー) | Viererpack (フィーラーパック) |
5得点 | Glut (グラット) | Manita (マニータ) | Manita (マニータ) | Fünferpack (フュンファーパック) |
6得点 | Double-hat-trick (ダブルハットトリック) |
このように、特にサッカーが盛んなヨーロッパの国々では、得点数ごとに細かく呼び方が分かれています。 これらの言葉を知っていると、海外サッカーのニュースや解説をより深く楽しむことができるでしょう。
なぜドッピエッタは特別なのか?その価値と難易度
サッカーにおいて、1試合で2得点を挙げる「ドッピエッタ」は、なぜこれほどまでに特別視されるのでしょうか。それは単に得点数が多いというだけでなく、試合に与える影響の大きさや、達成することの難しさに理由があります。ここでは、ドッピエッタが持つ真の価値とその難易度について解説します。
試合の流れを変える大きなインパクト
サッカーの試合は、多くの場合、1点を争う緊迫した展開となります。そんな中、一人の選手が2得点を挙げることは、試合の流れを劇的に変える力を持っています。
例えば、0-0の均衡した状況で先制点を挙げ、さらにもう1点追加してリードを広げる。あるいは、1点ビハインドの状況から同点ゴールと逆転ゴールを一人で奪い去る。こうしたプレーは、相手チームの戦意をくじき、味方チームを勢いづける絶大な効果があります。
1点目は試合の均衡を破る重要なゴールですが、2点目は試合の主導権を完全に引き寄せ、勝利を決定づけるゴールになることが多いのです。このように、ドッピエッタは単なる2得点ではなく、試合の勝敗を左右するほどの大きなインパクトを持っています。
達成することの難しさ
プロのサッカーの世界では、1つのゴールを決めること自体が非常に困難です。相手チームには厳しいマークを専門とするディフェンダーや、最後の砦であるゴールキーパーがいます。90分間の試合を通じて、選手がシュートを打てるチャンスは限られています。
その中で、一人の選手が2度もゴールネットを揺らすことは、並大抵のことではありません。そのためには、以下のようないくつかの要素が求められます。
- 高いシュート技術:正確で強力なシュートを打つ能力。
- 優れたポジショニング:ゴールが生まれやすい場所にいる嗅覚。
- 冷静な判断力:プレッシャーのかかる場面でも落ち着いてプレーできる精神力。
- フィジカルの強さ:相手ディフェンダーとの競り合いに負けない身体。
これらの能力を高いレベルで兼ね備えた、一部の優れたストライカー(点を取ることを主な役割とする選手) や攻撃的なミッドフィールダー(攻守にわたってプレーする選手) だけが、ドッピエッタをコンスタントに達成できるのです。
チームにもたらす勝利への貢献度
ドッpiettaを達成する選手は、チームを勝利に導く絶対的な存在となります。2得点という結果は、チームの総得点に大きく貢献するだけでなく、精神的な支柱としての役割も果たします。
「あの選手にボールを預ければ何とかしてくれる」という信頼感は、チーム全体に安心感と自信を与えます。また、相手チームにとっては「あの選手を止めなければ勝てない」という大きな脅威となり、相手の守備戦術に影響を与えることも少なくありません。
記憶に残るドッピエッタの達成者たち
サッカーの長い歴史の中で、数多くの選手がドッピエッタを達成し、ファンを熱狂させてきました。その中でも、特に人々の記憶に深く刻まれているドッピエッタが存在します。ここでは、国内外のスター選手による印象的なドッピエッタの事例をいくつか紹介します。
日本人選手による印象的なドッピエッタ
日本サッカー界においても、多くの選手がドッピエッタでチームを勝利に導き、歴史に名を刻んできました。ワールドカップという世界最高峰の舞台で達成されたドッピエッタは、今もなお語り草となっています。
例えば、2018年のFIFAワールドカップ・ロシア大会のグループステージ、日本代表対セネガル代表の試合。1点を追いかける後半に途中出場した本田圭佑選手は、乾貴士選手の折り返しに合わせて冷静にゴールを決め、チームを敗戦の危機から救う同点弾を挙げました。この試合、乾貴士選手も1ゴール1アシストの活躍を見せましたが、本田選手のゴールは日本をグループステージ突破に大きく近づける貴重なものでした。
また、記憶に新しい2022年のFIFAワールドカップ・カタール大会、グループステージのスペイン代表戦では、堂安律選手が強烈なミドルシュートを突き刺し、同点ゴールを記録。チームに勢いをもたらし、その後の歴史的な逆転勝利の口火を切りました。この試合は1点ずつでしたが、彼の得点がなければ、あの感動は生まれなかったでしょう。
世界のレジェンド選手たちのドッピエッタ
世界に目を向ければ、リオネル・メッシ選手やクリスティアーノ・ロナウド選手といった現代のスター選手たちは、キャリアを通じて数えきれないほどのドッピエッタを達成しています。彼らにとっては、ドッピエッタはもはや日常茶飯事とも言えるかもしれません。
過去のレジェンドたちも、重要な試合で決定的なドッピエッタを決めてきました。例えば、元ブラジル代表のロナウド選手は、2002年のFIFAワールドカップ日韓大会の決勝戦、ドイツ代表との試合で2ゴールを挙げ、母国を優勝に導きました。大舞台での勝負強さは、まさに「フェノーメノ(怪物)」の異名にふさわしいものでした。
彼らのプレーは、ドッピエッタがいかに試合を決定づけるものであるかを雄弁に物語っています。
大舞台で達成された歴史的なドッピエッタ
サッカーの歴史は、大舞台で生まれた劇的なドッピエッタによって彩られています。その中でも特に有名なのが、1986年のFIFAワールドカップ・メキシコ大会、準々決勝のアルゼンチン代表対イングランド代表戦で、ディエゴ・マラドーナ選手が記録した2ゴールです。
1点目は「神の手」ゴールとして物議を醸しましたが、2点目はセンターライン付近からドリブルで5人の選手を次々と抜き去って決めた「5人抜きゴール」であり、ワールドカップ史上最高のゴールの一つとして語り継がれています。このドッピエッタは、マラドーナ選手を伝説の存在へと押し上げました。
このように、ドッピエッタは単なる記録としてだけでなく、ファンの記憶に永遠に刻まれるドラマチックな瞬間の代名詞でもあるのです。
まとめ:ドッピエッタを知ってサッカー観戦をさらに楽しもう
この記事では、サッカー用語「ドッピエッタ」について、その意味や語源、ハットトリックとの違い、そしてその価値について詳しく解説してきました。
ドッピエッタとは、1人の選手が1試合で2得点を挙げることを意味するイタリア語由来の言葉です。 1点を争うサッカーにおいて、試合の流れを大きく左右する非常に価値のあるプレーであり、達成するには高い技術と決定力が求められます。
また、3得点を意味する「ハットトリック」 や、スーパーゴールを称える「ゴラッソ」 との違い、さらに4得点以上の呼び方についても知ることで、サッカーに関する知識がより一層深まったのではないでしょうか。
今度サッカーを観戦するとき、もし選手がドッピエッタを達成したら、その意味と価値を思い出しながら、その選手の素晴らしい活躍を称えてみてください。きっと、これまで以上に試合の展開や選手のプレーのすごさを実感でき、サッカー観戦が何倍も楽しくなるはずです。
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