サッカーの試合を観戦しているとき、「ハーフタイムって正確には何分なんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?あるいは、お子さんのサッカーの試合で、大人たちの試合と休憩時間が違うことに気づいた方もいるかもしれません。実は、サッカーの休憩時間、通称「ハーフタイム」は、プロの試合か、あるいは小学生や中学生の試合かによって、その長さが異なります。
この記事では、国際的なルールで定められている基本的なハーフタイムの時間から、小学生、中学生、高校生といった年代別の休憩時間の違いまで、詳しく掘り下げていきます。さらに、選手たちがその限られた時間で何をしているのか、監督からの指示や身体のケアといった「ロッカールームの裏側」にも迫ります。ハーフタイムが単なる休憩ではなく、試合の流れを大きく左右する重要な時間であることがわかれば、サッカー観戦がより一層楽しくなるはずです。
サッカーの休憩(ハーフタイム)は何分?基本的なルールを解説

サッカーの試合は前半と後半に分かれており、その間に設けられる休憩時間が「ハーフタイム」です。この時間は、選手たちが体を休め、後半に向けて戦略を練り直すための非常に重要な役割を担っています。まずは、基本的なハーフタイムのルールについて見ていきましょう。
国際ルールで定められたハーフタイムの長さ
プロのサッカーの試合、例えばJリーグやワールドカップなどで採用されている国際的なルールでは、ハーフタイムは最大15分と定められています。 試合は前半45分、後半45分の合計90分で行われ、その間に15分のハーフタイムが挟まれるのが基本です。
この15分という時間は、選手たちがロッカールームに戻り、水分補給や軽食でエネルギーを補給し、監督やコーチから後半の戦術的な指示を受けるのに必要な時間とされています。 また、前半のプレーで火照った体をクールダウンさせたり、軽いマッサージを受けたりと、身体的な回復にも充てられます。観客にとっても、トイレに行ったり、飲み物を買ったりと、一息つくための大切な時間となっています。
サッカーのルールが整備され始めた19世紀後半、当初はハーフタイムという概念はありませんでした。 休憩時間がルールとして定められたのは1871年のことで、その頃は「5分を超えてはならない」という短いものでした。 現在のように15分となったのは、時代とともにサッカーがよりスピーディーで体力を消耗するスポーツへと進化したことと関係があるのかもしれませんね。
ハーフタイムが15分を超えることはある?
競技規則では「最大15分」と定められているため、原則として15分を超えることはありません。 しかし、大きな大会の決勝戦などでは、ハーフタイム中に特別なショーやセレモニーが行われることがあります。その場合、イベントの時間も考慮され、通常の試合より少し長く設定されるケースも稀にありますが、競技の公平性を保つため、両チームの休憩時間が変わることはありません。
また、天候の急変、例えば激しい雷雨などで試合が一時中断し、そのままハーフタイムに突入するような特殊な状況では、再開の判断などを含めて結果的に休憩時間が長くなることも考えられます。ただし、これらはあくまで例外的なケースであり、基本的には15分というルールが厳密に守られています。
なぜハーフタイムは前半と後半の間にあるの?
サッカーの試合が前半と後半に分かれ、その間にハーフタイムが設けられているのには、いくつかの明確な理由があります。
1. 選手の体力回復とパフォーマンス維持 サッカーは90分間(プロの場合)走り続ける、非常に体力を消耗するスポーツです。ハーフタイムなしで90分間プレーを続けると、後半に選手のパフォーマンスが著しく低下し、怪我のリスクも高まります。15分の休憩を挟むことで、選手は一時的に体を休め、水分や栄養を補給し、後半も高いレベルのプレーを維持することができます。
2. 戦術の修正と指示 前半の試合展開を見て、監督やコーチが戦術を修正するための重要な時間でもあります。 「相手のこの選手をどう抑えるか」「攻撃の組み立て方をどう変えるか」など、ロッカールームでは具体的な指示が飛び交います。ハーフタイムでの的確な戦術変更が、後半の試合の流れを劇的に変え、逆転勝利につながることも少なくありません。
3. 競技の公平性の確保 サッカーのフィールドは広く、風向きや日差しの向き、ピッチの状態などがプレーに影響を与えることがあります。前半と後半でエンド(陣地)を交代することで、どちらか一方のチームだけが有利または不利にならないように、公平性を保つ役割も担っています。ハーフタイムは、そのエンドチェンジを行う区切りとなっています。
このように、ハーフタイムは単なる休憩ではなく、選手の体を守り、試合の質を高め、そして競技の公平性を保つために不可欠な時間なのです。
【年代別】サッカーの休憩時間はこんなに違う!

プロの試合では15分が基本のハーフタイムですが、実は選手の年齢、つまりカテゴリーによって試合時間とともに休憩時間も変わってきます。これは、選手の体力や発達段階を考慮して、安全にプレーできるように定められているためです。ここでは、小学生からプロ・大学生まで、年代ごとのハーフタイムの違いを見ていきましょう。
小学生(U-12)のハーフタイム
小学生年代のサッカー、いわゆる少年サッカー(U-12)では、ハーフタイムは10分以内と定められているのが一般的です。 試合時間も、プロの半分以下である前後半それぞれ20分(合計40分)が基本となります。
まだ成長途中にある小学生にとっては、長時間のプレーは身体への負担が大きくなります。そのため、試合時間を短くするとともに、ハーフタイムも適切に設定されています。この10分間で、子どもたちはコーチから後半に向けてのアドバイスをもらったり、仲間と前半のプレーについて話したり、そして何より楽しく水分補給をしながら元気を回復します。特に暑い夏の試合では、この休憩時間が熱中症予防の観点からも非常に重要になります。
中学生(U-15)のハーフタイム
中学生年代(U-15)になると、試合時間は少し長くなり、前後半それぞれ30分の合計60分が基本です。 それに伴い、ハーフタイム(インターバル)は10分が一般的です。
体も大きくなり、より戦術的なプレーが増えてくる中学生年代。ハーフタイムの10分間は、体力の回復はもちろんのこと、監督からのより具体的な戦術指示を理解し、チームとして後半の戦い方を統一するための貴重な時間となります。大会の規模や地域によっては、試合時間が40分ハーフ(合計80分)で行われることもありますが、その場合でもハーフタイムは10分とされることが多いようです。
高校生(U-18)のハーフタイム
高校生年代(U-18)では、試合時間はさらにプロに近づき、前後半それぞれ40分の合計80分が基本となります。 そして、ハーフタイムは原則として10分間です。
ただし、高校サッカーの集大成ともいえる「全国高校サッカー選手権大会」では、準決勝と決勝戦に限ってプロと同じ前後半45分ハーフ(合計90分)となり、ハーフタイムも15分に延長されます。 これは、大会の格式の高さと、全国の頂点を決める戦いにふさわしい舞台設定と言えるでしょう。また、夏のインターハイなど、猛暑の中で行われる大会では、選手の健康を考慮して試合時間が35分ハーフ(合計70分)に短縮されることもあります。
プロ・大学生のハーフタイム
プロや大学生の試合では、前述の通り、国際サッカー評議会(IFAB)の定める公式ルールに則り、ハーフタイムは15分です。 試合時間は前後半45分ずつの合計90分。 この15分という時間は、世界中のトップリーグや国際大会で標準となっています。
大学生も基本的にはプロと同じルールで試合が行われます。高いレベルでのプレーが求められるこのカテゴリーでは、15分間のハーフタイムをいかに有効に使うかが、勝敗を分ける大きな要因の一つとなります。
年代別 試合時間とハーフタイムの目安
| 年代 | 試合時間(前半/後半) | 合計試合時間 | ハーフタイム |
|---|---|---|---|
| 小学生 (U-12) | 20分 / 20分 | 40分 | 10分以内 |
| 中学生 (U-15) | 30分 / 30分 | 60分 | 10分 |
| 高校生 (U-18) | 40分 / 40分 | 80分 | 10分 |
| プロ・大学生 | 45分 / 45分 | 90分 | 15分 |
※大会の規定などにより、上記と異なる場合があります。
ハーフタイムだけじゃない!その他の休憩時間

サッカーの試合におけるまとまった休憩はハーフタイムが基本ですが、試合の状況によってはそれ以外にもプレーが中断し、選手たちが一息つく時間が設けられることがあります。特に勝敗を決めなければならない試合や、過酷な環境下での試合では、特別な休憩時間がルールとして定められています。
延長戦に入る前のインターバル
リーグ戦では引き分けで試合終了となりますが、ワールドカップの決勝トーナメントのような、必ず勝敗を決めなければならない試合では、90分間で決着がつかない場合に延長戦が行われます。
90分間の激闘を終えた選手たちのために、延長戦が始まる前には約5分間のインターバル(休憩)が与えられます。 この短い時間で、選手たちは水分補給やマッサージを受け、監督から延長戦に向けた最後の指示を受けます。
延長戦自体は、プロの場合、前後半15分ずつの合計30分で行われます。 興味深いのは、延長戦の前後半の間には、ハーフタイムのような長い休憩はないということです。 前半が終わると、エンドを交代してすぐに後半が始まりますが、その際に1分程度の短い給水時間が設けられるのが一般的です。
真夏の試合で重要な「飲水タイム」
近年の夏の猛暑は、サッカー選手にとっても深刻な問題です。熱中症のリスクを軽減し、選手の安全を守るために「飲水タイム」や「クーリングブレイク」といった制度が導入されています。
Jリーグなどでは、試合会場の暑さ指数(WBGT)という指標に基づいて、飲水タイムを実施するかどうかを判断します。 例えば、WBGTが28℃以上の場合には飲水タイムの実施が義務付けられるなど、明確な基準が設けられています。
この飲水タイムは、前半と後半のそれぞれ中盤あたり(例:30分前後)で、審判の判断によって1分程度の時間が与えられます。選手たちはピッチ脇で水分を補給することができます。 ただし、あくまで水分補給が目的のため、この時間に監督が戦術的な指示を出すことは認められていません。
気温だけでなく、湿度や日射・輻射熱などを取り入れた、熱中症の危険度を示す指標です。 同じ気温でも、湿度が高い方が熱中症のリスクは高まるため、より正確な判断基準としてスポーツの現場で広く活用されています。
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)による中断
近年のサッカーで導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)も、結果的に選手にとって短い休憩時間となることがあります。VARは、得点、ペナルティキック、一発退場、選手の誤認といった、試合を決定づけるような判定を映像で再確認するシステムです。
主審が映像を確認している間、プレーは数分間中断されます。この時間は、選手たちが水分を補給したり、チームメイトとコミュニケーションを取ったりする時間にあてることができます。意図された休憩時間ではありませんが、試合が緊迫する場面での一時的なクールダウンとして機能することもあります。
選手たちは休憩時間に何してる?ハーフタイムの過ごし方

たった15分(カテゴリーによっては10分)という限られたハーフタイム。選手たちはこの短い時間で、驚くほど多くのことを行っています。ロッカールームでの過ごし方は、後半のパフォーマンスに直結するため、非常にシステマティックかつ効率的に時間が使われます。ここでは、選手たちのハーフタイムの過ごし方を具体的に見ていきましょう。
監督・コーチからの戦術指示
ハーフタイムのロッカールームで最も重要なのが、監督やコーチからの戦術的な指示です。 選手たちがロッカールームに戻ると、まず監督が前半の戦いぶりを総括し、後半に向けた修正点を伝えます。
- 問題点の修正: 「相手の〇〇選手へのプレッシャーが甘い」「サイドのスペースを使われすぎている」など、前半で露呈した問題点を具体的に指摘し、改善策を指示します。
- 戦術の変更: ときには、フォーメーションの変更や、選手のポジションチェンジといった大きな戦術変更を指示することもあります。 5人交代制が導入されてからは、ハーフタイムに選手を交代させて、後半から全く違う戦い方をするチームも増えました。
- 精神的な鼓舞: 戦術だけでなく、メンタル面でのアプローチも重要です。「もっと自信を持ってプレーしよう」「最後まで走り負けるな」といった言葉で選手たちの士気を高め、後半へと送り出します。
これらの指示は、ホワイトボードや映像を使って、選手たちが視覚的に理解しやすいように行われることがほとんどです。
身体のケアと栄養補給
45分間走り続けた選手の体は、想像以上に消耗しています。後半も高いパフォーマンスを維持するためには、迅速な身体のケアと栄養補給が欠かせません。
- 水分とエネルギーの補給: まず基本となるのが水分補給です。水やスポーツドリンクで失われた水分を補給します。また、エネルギー源となる糖質を手軽に摂取できるエナジードリンクやゼリー、バナナなどを口にする選手も多いです。
- アイシングとマッサージ: 軽い打撲や筋肉の張りがある選手は、トレーナーからアイシングやマッサージを受けます。 これにより、筋肉の疲労を和らげ、後半も万全の状態でプレーできるようにします。
- 着替えとリフレッシュ: 汗で濡れたユニフォームを着替え、さっぱりとした状態で後半に臨む選手もいます。中には、シャワーを浴びてリフレッシュする選手もいるそうです。
これらのケアは、監督からの指示と並行して、あるいはその前後に手際よく行われます。
選手同士のコミュニケーション
監督からの指示だけでなく、選手同士でのコミュニケーションも非常に重要です。ピッチ上で実際にプレーしている選手だからこそ気づくことがあります。
- プレーの確認: 「あの場面では、もっと早くパスが欲しかった」「守備の時に、もう少し寄ってほしかった」など、選手同士で具体的なプレーのイメージをすり合わせます。
- 意見交換: ディフェンダーとフォワード、ミッドフィルダーとサイドバックなど、異なるポジションの選手が意見を交換し、チーム全体の連携を高めます。
- 励まし合い: うまくいかなかったプレーがあっても、「後半取り返そうぜ!」とお互いを励まし合うことで、チームの一体感を高めます。
このように、ハーフタイムは監督からの一方的な指示の時間ではなく、チーム全体で後半の戦い方を共有し、意志を統一するための貴重なコミュニケーションの時間でもあるのです。この濃密な15分間が、試合の流れを大きく変える力を持っています。
まとめ:サッカーの休憩時間は勝敗を左右する重要な時間

今回は、「サッカーの休憩時間(ハーフタイム)は何分?」という疑問にお答えすべく、その基本的なルールから年代による違い、さらには選手たちの過ごし方まで詳しく解説しました。
プロの試合では最大15分と定められているハーフタイムですが、小学生では10分以内、中高生では10分と、選手の成長段階に合わせて時間が調整されています。 この時間は単なる休憩ではなく、選手たちが体力を回復させ、監督からの戦術指示を受け、チームとして後半の戦い方を再確認するための、勝敗を左右する極めて重要な時間です。
また、延長戦前のインターバルや、夏の試合での飲水タイムなど、ハーフタイム以外にも選手のコンディションを整えるための休憩時間が設けられていることもお分かりいただけたかと思います。
次にサッカーを観戦する際は、ぜひハーフタイムの時間にも注目してみてください。「この15分間で、チームはどう変わるだろう?」と考えてみることで、後半の試合がさらに面白く、深く楽しめるようになるはずです。



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