練習や試合で汗や泥にまみれたサッカーユニフォーム。お気に入りのチームのユニフォームや、思い入れのある背番号が入ったものは、できるだけ長く綺麗な状態で使いたいですよね。
しかし、間違った手入れをしてしまうと、生地が傷んだり、大切なプリントが剥がれてしまったりすることも少なくありません。
この記事では、サッカーユニフォームの正しい手入れ方法を、洗濯前の準備から洗い方、干し方、保管方法まで、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。頑固な泥汚れを落とすコツや、やってはいけないNGな手入れ方法もご紹介しますので、ぜひ参考にして、あなたの大切なユニフォームを最高の状態で保ちましょう。正しい知識を身につければ、ユニフォームの寿命をぐっと延ばすことができますよ。
サッカーユニフォームの正しい手入れ|洗濯前の準備が大切
お気に入りのサッカーユニフォームを長持ちさせるためには、洗濯機に入れる前の「準備」が非常に重要です。少しの手間をかけるだけで、生地やプリントへのダメージを大きく減らすことができます。
まずはタグの洗濯表示を確認しよう
ここには、そのユニフォームにとって最適な洗い方が記号で示されています。 例えば、桶に水が入っているマークは家庭での洗濯が可能であることを示し、中の数字は水の温度の上限を表しています。 また、桶の下に線が引いてある場合は、「弱い洗濯」が推奨されていることを意味します。
多くのサッカーユニフォームは、速乾性に優れたポリエステルなどの化学繊維で作られています。 ポリエステルは丈夫な素材ですが、熱に弱いという特徴も持っています。 そのため、乾燥機やアイロンの使用は基本的に避けるべきです。 また、背番号やエンブレムなどのプリント部分は、ラバー(ゴム)素材で圧着されていることが多く、これらも熱や強い摩擦に非常に弱いです。 一方で、「昇華プリント」と呼ばれる、生地自体を染めるタイプのマーキングは、剥がれたりひび割れたりする心配が少ないという特徴があります。 このように、ユニフォームの素材やプリントの種類によって適した手入れ方法が異なるため、まずは洗濯表示をしっかりと確認する習慣をつけましょう。
泥や汗の予洗いで汚れを落としやすく
グラウンドでの激しいプレーで付着した泥汚れは、いきなり洗濯機に入れてもなかなか綺麗に落ちません。泥汚れは、砂や土の粒子が繊維の奥に入り込んでいるため、まずは予洗い(下洗い)で大まかな汚れを取り除くことが大切です。
泥汚れを落とす際のポイントは、付着してすぐには洗わず、一度しっかりと乾かすことです。 濡れたまま洗おうとすると、泥が繊維のさらに奥へと入り込んでしまう可能性があります。 ユニフォームを日陰で干して泥を乾燥させたら、ブラシなどを使って、できるだけ泥を払い落としましょう。
その後、ぬるま湯で汚れた部分を濡らし、固形の洗濯石鹸(ウタマロ石けんなどが有名です)を直接こすりつけ、丁寧にもみ洗いをします。 汗や皮脂汚れも混じっているため、洗剤をしっかり泡立てて汚れを浮かび上がらせるのがコツです。 このひと手間を加えるだけで、洗濯機での洗浄効果が格段にアップし、洗い上がりが全く違ってきます。
プリントやマーキング部分を保護する
サッカーユニフォームの顔とも言える背番号やチームのエンブレム。このプリント部分を保護することも、洗濯前の重要な準備の一つです。プリント部分は摩擦に非常に弱く、他の洗濯物と絡まったり、洗濯槽に擦れたりすることで、ひび割れや剥がれの原因となってしまいます。
これを防ぐために最も効果的なのが、ユニフォームを裏返して洗濯ネットに入れることです。 ユニフォームを裏返すことで、プリント部分が直接他の衣類や洗濯槽に当たるのを防ぎ、物理的なダメージを大幅に軽減できます。 さらに、洗濯ネットに入れることで、衣類同士の絡まりを防ぎ、生地の伸びや傷みを防ぐ効果も期待できます。 特にメッシュ素材のユニフォームは引っかかりやすいため、目の細かい洗濯ネットを使用するのがおすすめです。この2つの対策は、洗濯機洗い・手洗いに関わらず、必ず行うようにしましょう。
基本的な洗濯方法|洗い方で差がつく!
洗濯前の準備が整ったら、いよいよ洗濯です。ユニフォームへのダメージを最小限に抑えるためには、洗い方にもいくつかのポイントがあります。洗濯機を使う場合と、より丁寧に洗える手洗いの場合、それぞれのおすすめの方法をご紹介します。
洗濯機を使う場合|コースと洗剤の選び方
時間がない時や、そこまでひどい汚れでない場合は洗濯機を使うのが便利です。ただし、通常のコースで他の衣類と一緒に洗ってしまうと、ユニフォームを傷める原因になります。
洗濯機で洗う際は、「手洗いコース」「ドライコース」「おしゃれ着コース」といった、水流の弱いコースを選びましょう。 これにより、生地への負担やプリント部分への摩擦を最小限に抑えることができます。 脱水時間も、長く設定すると生地やプリントに負担がかかるため、30秒〜1分程度の短い時間に設定するのが理想的です。 ユニフォームの多くは速乾性の高いポリエステル素材なので、短時間の脱水でも十分に乾きます。
使用する洗剤は、中性洗剤を選びましょう。 一般的な弱アルカリ性の洗剤に比べて洗浄力は少し穏やかですが、その分、生地へのダメージや色落ちのリスクを抑えることができます。蛍光増白剤や漂白剤が含まれている洗剤は、色褪せやプリント部分の劣化につながる可能性があるため、避けるのが無難です。 また、柔軟剤もプリント部分が剥がれやすくなる原因となることがあるため、使用は控えた方が良いでしょう。
洗濯機での洗い方ポイント | |
---|---|
洗濯コース | 手洗いコース、ドライコース、おしゃれ着コースなど弱水流のもの |
洗剤 | 蛍光増白剤や漂白剤の入っていない中性洗剤 |
柔軟剤 | プリント剥がれの原因になるため使用を避ける |
脱水時間 | 30秒〜1分程度と短めに設定する |
おすすめは手洗い|優しく丁寧に汚れを落とす
洗濯機に比べて手間はかかりますが、汚れ具合を確認しながら力加減を調整できるため、生地やプリントへのダメージを最小限に抑えることができます。
手洗いの手順は以下の通りです。
- 洗面器や桶に、30℃以下のぬるま湯または水を溜めます。 熱いお湯はプリントの劣化や生地の傷みを招くため、必ず水温を確認しましょう。
- 中性洗剤を適量溶かし、よく混ぜます。
- 裏返して洗濯ネットに入れたユニフォームを入れ、優しく「押し洗い」をします。上から数回押して沈め、浮かんでくるのを待つ、という動作を繰り返します。ゴシゴシと強くこすると生地が傷んだり、プリントが剥がれたりする原因になるので絶対にやめましょう。
- 汚れが気になる部分は、指の腹で優しくなでるように洗います。
- 洗剤が残らないよう、水を2〜3回入れ替えながら、押し洗いと同じ要領で丁寧にすすぎます。
- すすぎが終わったら、軽く押して水分を切り、大きなタオルに挟んで水気を吸い取ります(タオルドライ)。雑巾のように絞るのは型崩れの原因になるので避けてください。
やってはいけないNGな洗い方
ユニフォームを長持ちさせるためには、避けるべき洗い方があります。良かれと思ってやっていることが、実はユニフォームの寿命を縮めているかもしれません。
まず、漂白剤や塩素系洗剤の使用は絶対に避けましょう。 汚れを真っ白にしたいために使いたくなるかもしれませんが、色落ちや生地を傷める大きな原因となります。 他の衣類への色移りのリスクもあります。
次に、乾燥機の使用もNGです。 サッカーユニフォームに使われるポリエステル素材やプリントマーキングは熱に非常に弱いため、乾燥機にかけると生地が縮んだり、プリントが溶けたり剥がれたりする危険性があります。
また、泥汚れがひどいからといって、お湯につけ置きするのも注意が必要です。汗や皮脂汚れはお湯で落ちやすくなりますが、泥汚れに含まれるタンパク質は、熱で固まってしまう性質があります。40℃以上のお湯は避け、ぬるま湯で洗うようにしましょう。 最後に、他の色の濃い衣類と一緒に洗うと、色移りしてしまう可能性があります。特に白いユニフォームを洗う際は、単独で洗うか、色の薄いものと一緒に洗うようにしましょう。
頑固な汚れを落とす特別な洗い方
基本的な洗濯方法だけでは落ちない、泥や芝生、汗ジミといった頑固な汚れ。諦めてしまう前に、汚れの種類に合わせた特別なケアを試してみましょう。適切な方法で対処すれば、見違えるほど綺麗になる可能性があります。
泥汚れにはつけ置き洗いが効果的
予洗いをしてもまだ残っているような頑固な泥汚れには、つけ置き洗いが非常に効果的です。泥汚れは不溶性の汚れであり、汗や皮脂といった酸性の汚れと混ざり合って繊維に絡みついています。 つけ置きをすることで、洗剤の力でこれらの汚れをじっくりと分解し、浮き上がらせることができます。
つけ置き洗いの手順は以下の通りです。
- バケツや洗面器に40℃未満のぬるま湯を溜めます。
- 泥汚れに強い洗濯洗剤(粉末タイプがおすすめです)を規定量よりも少し多めに溶かします。
- 泥汚れの部分が洗剤液にしっかりと浸かるようにユニフォームを入れ、1〜2時間程度つけ置きします。
- つけ置き後、汚れた部分を軽くもみ洗いします。この時、ブラシを使うとより効果的ですが、生地を傷めないよう優しくこすりましょう。
- 汚れが落ちたら、通常の洗濯方法(手洗いまたは洗濯機の弱水流コース)で全体を洗い、しっかりとすすぎます。
一晩中つけ置きすると、雑菌が繁殖して臭いの原因になったり、生地が傷んだりする可能性があるため、長時間のつけ置きは避けるようにしましょう。
芝生のシミの落とし方
スライディングなどで付着してしまう芝生の緑色のシミ。これは、葉緑素(クロロフィル)の色素が繊維に入り込んでしまったもので、通常の洗濯ではなかなか落ちにくい厄介な汚れです。
芝生のシミには、酸素系漂白剤を使用するのが効果的です。ただし、前述の通り、塩素系の漂白剤は色落ちの原因になるため絶対に使用しないでください。酸素系漂白剤は、色柄物にも使えるものが多く、シミの色素を分解して無色化する働きがあります。
シミ抜きの方法は、まず液体タイプの酸素系漂白剤をシミの部分に直接塗布します。その後、洗剤を少量加えたぬるま湯につけ置きするか、そのまま通常の洗濯を行います。より効果を高めたい場合は、漂白剤を塗った後に、スチームアイロンのスチームを当てると(アイロンを直接当てないように注意)、漂白剤の化学反応が促進され、汚れが落ちやすくなります。ただし、この方法は生地を傷めるリスクもあるため、目立たない場所で試してから行うようにしてください。
汗の黄ばみや臭いを防ぐには?
汗をかいたユニフォームを洗濯せずに放置すると、皮脂汚れが酸化して黄ばみになったり、雑菌が繁殖して嫌な臭いの原因になったりします。こうなってしまう前に、着用後はできるだけ早く洗濯するのが一番の予防策です。
もし黄ばみが発生してしまった場合は、芝生のシミと同様に酸素系漂白剤でのつけ置きが有効です。また、皮脂汚れは酸性のため、アルカリ性の性質を持つ重曹を使うのも効果的です。ペースト状にした重曹を黄ばんだ部分に塗り込み、しばらく置いてから洗い流す方法も試してみてください。
臭いが気になる場合は、洗濯のすすぎの際にクエン酸を少量加えると、アルカリ性の臭いを中和して消臭効果が期待できます。市販の消臭・除菌効果のある柔軟剤を使うのも一つの手ですが、前述の通りプリント部分への影響を考慮し、使用する場合は製品の注意書きをよく確認しましょう。最も大切なのは、汗で濡れたユニフォームをバッグの中に入れっぱなしにせず、すぐに洗濯するか、少なくとも風通しの良い場所で乾かす習慣をつけることです。
干し方と保管方法でユニフォームの寿命を延ばす
洗濯が終わった後の干し方や、シーズンオフの間の保管方法も、ユニフォームを良い状態で保つためには非常に重要です。正しい方法を実践することで、型崩れや色褪せ、プリントの劣化を防ぎ、次に着る時も気持ちよく袖を通すことができます。
型崩れを防ぐ干し方のポイント
洗濯後のユニフォームは、水分を含んで重くなっているため、干し方を間違えると型崩れや伸びの原因になります。以下のポイントを押さえて、丁寧に干しましょう。
まず、洗濯が終わったらすぐに取り出して干すことが大切です。濡れたまま長時間放置すると、シワや臭いの原因になります。干す際は、プリント部分や生地を保護するため、裏返しのまま干すのが基本です。
干す場所は、直射日光の当たらない、風通しの良い日陰を選びましょう。 直射日光は、紫外線によって生地の色褪せや、プリント部分のひび割れ・劣化を早める原因となります。 ポリエステル素材は速乾性が高いので、日陰でも十分に乾きます。
ハンガーにかける際は、肩幅に合った、なるべく厚みのあるハンガーを使用すると、肩部分の型崩れを防ぐことができます。 袖口や裾のシワが気になる場合は、干す前に手でパンパンと軽く叩いてシワを伸ばしておくと、乾いた時の仕上がりが綺麗になります。
乾燥機の使用は絶対にNG!
サッカーユニフォームに多く使われているポリエステル素材や、背番号などのラバープリントは熱に非常に弱いです。
乾燥機にかけると、高温によって生地が縮んでしまったり、プリント部分が溶けてしまったり、剥がれてしまう危険性が非常に高いです。 同様に、シワを伸ばしたいからといってアイロンを直接当てるのも厳禁です。 特にプリント部分に高温のアイロンが触れると、一瞬で溶けてしまいます。 どうしてもシワが気になる場合は、必ず当て布をし、低温設定で、プリント部分を避けて慎重にかけるようにしてください。 しかし、基本的にはアイロンの使用も避けるのが賢明です。
長期保管する際の注意点
シーズンオフなどで長期間ユニフォームを着用しない場合の保管方法にも注意が必要です。
保管する際は、ハンガーにかけて吊るして保管するのが最もおすすめです。 畳んで保管すると、折り目の部分、特にプリント部分に負荷がかかり、ひび割れや剥がれの原因になる可能性があります。 どうしても畳んで保管する場合は、プリント部分に折り目がつかないように注意して畳みましょう。
保管場所は、湿気が少なく、直射日光が当たらない風通しの良い場所を選びます。 クローゼットなどにしまう際は、除湿剤を一緒に入れておくと、湿気によるカビや生地の劣化を防ぐことができます。また、長期間保管する場合は、防虫剤の使用も検討しましょう。ただし、防虫剤が直接ユニフォームに触れないように注意してください。高温多湿になりやすい車内での保管も、プリントの劣化を招くため絶対にやめましょう。
まとめ|正しいサッカーユニフォームの手入れで最高の状態を保とう
この記事では、サッカーユニフォームを長持ちさせるための手入れ方法について、洗濯前の準備から洗い方、干し方、保管方法まで詳しく解説しました。
大切なポイントは以下の通りです。
- 洗濯前: まず洗濯表示を確認し、泥汚れは乾かしてから予洗いする。プリント保護のため「裏返してネットに入れる」を徹底する。
- 洗い方: 中性洗剤を使い、洗濯機なら弱水流コース、おすすめは優しい手洗い。漂白剤や乾燥機の使用は絶対に避ける。
- 干し方: 裏返しのまま、直射日光の当たらない風通しの良い場所で陰干しする。
- 保管方法: 型崩れ防止のためハンガーで吊るし、湿気の少ない場所で保管する。
少しの手間をかけるだけで、ユニフォームの寿命は大きく変わります。激しいプレーを支えてくれた相棒とも言えるユニフォーム。正しい手入れを実践して、いつまでも綺麗な状態で大切に着続けてください。
コメント