メッシのポジションはどこ？驚きの変遷と各役割を徹底解説！

サッカー界の「生きる伝説」と称されるリオネル・メッシ選手。彼のプレーに魅了されるファンは世界中にいますが、「メッシのポジションは結局どこなの？」と疑問に思ったことはありませんか？それもそのはず、メッシはキャリアを通じて様々なポジションでプレーし、その役割を進化させ続けてきました。

この記事では、サッカーを最近見始めた方にも分かりやすく、メッシのポジションの変遷と、それぞれのポジションで彼がどのような役割を果たしてきたのかを、詳しく解説していきます。彼の輝かしいキャリアをポジションという視点から追いかけることで、メッシという選手のすごさが、より深く理解できるはずです。

メッシのポジションの歴史！デビューから現在まで

サッカー史上最高の選手と名高いリオネル・メッシは、そのキャリアの中で驚くほど多様なポジションをこなしてきました。彼のポジションの変遷は、所属チームの戦術や監督の哲学、そして彼自身の成長と深く結びついています。ここでは、彼の輝かしいキャリアをポジションの変遷という切り口で振り返ってみましょう。

デビュー当初の右ウィング時代（2004年〜2008年）

メッシがFCバルセロナのトップチームでデビューした当初、彼の主戦場は**右ウィング**でした。 当時のバルセロナには、左ウィングにロナウジーニョ、中央にはサミュエル・エトーという絶対的なエースが君臨していました。 そのため、若き日のメッシは右サイドに配置されることになったのです。

しかし、経験を積むにつれて、彼のプレースタイルは徐々に変化していきます。ただサイドを突破するだけでなく、ドリブルで中央に切れ込み、自らシュートを狙うプレーが増えていきました。 この「カットイン」からのシュートは、彼の代名詞ともいえるプレーとなり、ゴールスコアラーとしての才能を開花させるきっかけとなりました。 当初はアシスト役がメインでしたが、ゴール数は右肩上がりに増え、世界最高峰の選手への道を駆け上がっていったのです。

偽9番（ファルソ・ヌエベ）としての覚醒（2009年〜2014年）

メッシのキャリアにおいて最も画期的で、サッカー界の戦術に大きな影響を与えたのが「偽9番（ファルソ・ヌエベ）」としての起用です。 この戦術を考案したのは、当時バルセロナの監督だったジョゼップ・グアルディオラです。

「9番」とは、通常、最前線の中央に位置するストライカー（センターフォワード）を指す背番号です。 しかし、「偽9番」は、名目上はセンターフォワードの位置にいながら、実際には中盤まで下がってプレーするという特殊な役割を担います。

この戦術の狙いは、相手のセンターバックを混乱させることにあります。

• メッシが中盤に下がると、相手のセンターバックは「マークについていくべきか、ポジションを維持すべきか」という難しい判断を迫られます。
• もしセンターバックがメッシについてくれば、ディフェンスラインの裏に広大なスペースが生まれます。そのスペースに、両サイドのウィング（ダビド・ビジャやペドロ・ロドリゲスなど）が走り込み、メッシからの決定的なスルーパスを受けてゴールを狙います。
• 逆にもしセンターバックがついてこなければ、メッシは中盤でフリーになり、得意のドリブルで仕掛けたり、正確無比なパスでチャンスを演出したりすることができます。

この戦術により、メッシは相手のマークから解放され、彼の持つ得点能力、パス能力、ドリブル能力といった全ての才能を最大限に発揮できるようになりました。 この「偽9番」システムを導入したバルセロナは、前人未到の6冠を達成するなど黄金期を築き、メッシ自身も4年連続でバロンドール（世界最優秀選手賞）を受賞するなど、個人としてもキャリアの絶頂期を迎えました。

MSN時代は再び右サイドの王様へ（2014年〜2017年）

2014年にルイス・スアレスがバルセロナに加入すると、メッシ、スアレス、ネイマールによる史上最強とも言われる3トップ、通称「MSN」が誕生しました。これに伴い、メッシのポジションは再び右ウィングへと戻ります。

しかし、これは単なるデビュー当初への回帰ではありませんでした。スアレスという純粋なセンターフォワードが最前線にいることで、メッシの役割はより自由で流動的なものへと進化しました。

この時代のメッシは、「右ウィングの位置から自由に動くプレーメイキング・フォワード」と表現するのが最も近いかもしれません。 右サイドでオーバーラップしてくるダニ・アウベスと連携したり、中央でスアレスとワンツーをしたり、左サイドのネイマールへ正確なロングパスを送ったりと、フィールド全体を駆使して攻撃を組み立てました。

MSNの3人は驚異的な連携を見せ、3シーズンで合計364ゴールという驚異的な記録を打ち立てます。 メッシ自身も、右ウィングに戻りながらも毎シーズン40ゴール以上を記録し続け、プレーメーカーとしてだけでなく、世界最高のフィニッシャーでもあることを証明し続けました。

近年のプレーメーカーへの変貌（2017年〜現在）

ネイマールがパリ・サンジェルマン（PSG）へ移籍しMSNが解体された2017年以降、そしてPSG、現在のインテル・マイアミへの移籍を経て、メッシのポジションと役割はさらに変化していきます。 近年のメッシは、特定のポジションに固定されるのではなく、トップ下やセカンドトップ**、さらにはインサイドハーフといった、より中盤に近い位置でプレーすることが多くなりました。

これは、加齢による身体能力の変化に適応しつつ、彼の持つ卓越したビジョンとパス能力を最大限に活かすための自然な進化と言えるでしょう。 最前線でゴールを量産する役割から、一列低い位置からゲーム全体をコントロールし、決定的なチャンスを創出する「司令塔」としての役割が強まっています。

アルゼンチン代表においても、2022年のワールドカップ優勝時には、まさにチームの中心に君臨する司令塔として、チームを悲願の世界一へと導きました。 周囲の選手がハードワークで彼を支え、メッシは決定的な仕事に集中できる環境が整えられていたのです。 現在所属するインテル・マイアミでも、フォワードとして登録されていますが、その役割はゴールを決めるだけでなく、攻撃の全権を握る絶対的な王様と言えるでしょう。

各ポジションでのメッシの役割とプレースタイル

メッシはキャリアを通じて様々なポジションを経験してきましたが、それぞれのポジションで求められる役割を完璧以上にこなし、独自のプレースタイルを確立してきました。ここでは、代表的なポジションごとに、彼の具体的な役割とプレーの特徴を詳しく見ていきましょう。

右ウィングとしての役割：カットインからの脅威

メッシが世界にその名を轟かせ始めた頃のポジションが右ウィングです。 このポジションでの彼のプレーは、サッカー界のサイド攻撃の概念を塗り替えるほど衝撃的でした。

利き足が左足であるメッシが右サイドにいることで、最大の武器が発揮されます。それは、ドリブルで縦に突破するだけでなく、内側（中央）に切れ込みながら左足でシュートを狙う「カットイン」です。 このプレーは相手ディフェンダーにとって非常に厄介で、縦への突破を警戒すれば内側をがら空きにしてしまい、内側を警戒すれば縦に抜かれてしまいます。

また、シュートだけでなく、カットインから相手ディフェンダーを引きつけて、逆サイドや中央の味方へラストパスを送るなど、チャンスメーカーとしても非常に高い能力を発揮しました。MSN時代には、右サイドを起点としながらも、より自由に動き回り、スアレスやネイマールと連携して数多くのゴールを生み出しました。

偽9番としての役割：神出鬼没のスコアラー兼司令塔

偽9番（ファルソ・ヌエベ）は、メッシの才能を完全に解放し、彼を唯一無二の存在へと昇華させたポジションと言えるでしょう。 この役割は、従来のセンターフォワードの概念を覆すものでした。

通常のセンターフォワードは、最前線に留まり、相手のセンターバックと駆け引きをしながらゴールを狙うのが主な仕事です。しかし、偽9番のメッシは、頻繁に中盤までポジションを下げ、ゲームの組み立てに参加します。 彼は、名司令塔であったシャビやイニエスタといった選手たちとパス交換をしながら、攻撃のリズムを作り出しました。

この動きによって、相手の守備組織に混乱が生じます。

• 相手センターバックを引きつける：メッシをマークするためにセンターバックが前に出てくると、その背後にできたスペースを両ウィングの選手が利用します。
• 中盤で数的優位を作る：メッシが中盤に加わることで、味方が数的優位となり、ボールを支配しやすくなります。
• 自らフィニッシャーになる：中盤でフリーになったメッシは、ドリブルでゴールに向かって仕掛け、自ら得点を奪うこともできます。

このように、偽9番のメッシは、ゴールを奪うストライカーでありながら、チャンスを作り出す司令塔でもあるという、二つの役割を完璧にこなしました。 この時期の彼は、シーズン91ゴールという前人未到の記録を打ち立てるなど、まさに手が付けられない存在でした。

トップ下/インサイドハーフとしての役割：円熟のゲームメーカー

近年、メッシが主戦場としているのがトップ下やインサイドハーフといった、より低い位置のポジションです。 全盛期のような爆発的なスピードは落ち着いてきましたが、その代わりに、経験に裏打ちされた卓越した戦術眼とパスセンスで試合を支配します。

このポジションでのメッシの主な役割は、攻撃のタクトを振るうゲームメーカーです。 相手のディフェンスラインとミッドフィールドラインの間、いわゆる「バイタルエリア」でボールを受け、味方の動き出しを見逃さずに決定的なスルーパスを供給します。彼の左足から繰り出されるパスは、誰も予測できないようなコースを通り、一瞬でチャンスを創り出してしまいます。

もちろん、得点能力が衰えたわけではありません。ミドルシュートの精度は健在ですし、巧みな動き出しでゴール前に侵入し、ワンタッチでゴールを決める形も持っています。 2022年のカタールワールドカップでは、アルゼンチン代表の「10番」として、まさに司令塔としてチームを牽引し、得点とアシストの両面で絶大な貢献を見せ、悲願の優勝を果たしました。 このように、メッシは年齢とともにプレースタイルを変化させながら、常に世界のトップで輝き続けているのです。

なぜメッシはポジションを変え続けてきたのか？

リオネル・メッシがこれほどまでに頻繁にポジションを変えてきたのには、いくつかの理由が複雑に絡み合っています。それは、監督の戦術的な意図だけでなく、メッシ自身の進化、そしてサッカー選手として避けられない身体的な変化への適応の結果でもあります。

監督の戦術的意図

メッシのポジション変更において、最も大きな影響を与えてきたのが歴代の監督たちの戦術です。

• フランク・ライカールト：デビュー当初、ライカールト監督は若きメッシを右ウィングで起用しました。 これは、ロナウジーニョやエトーといった既存のスター選手との共存を図りつつ、メッシの爆発的なドリブル能力を活かすための最適な配置でした。
• ジョゼップ・グアルディオラ：メッシのキャリアを語る上で欠かせないのがグアルディオラ監督です。彼は、メッシのポテンシャルを最大限に引き出すために、画期的な「偽9番」システムを考案しました。 これは、メッシを相手の厳しいマークから解放し、彼の得点力とゲームメイク能力の両方を最大限に活用するための戦術的な発明でした。
• ルイス・エンリケ：スアレスとネイマールが加入し「MSN」が結成されると、エンリケ監督はメッシを再び右サイドに戻しました。 しかし、その役割は以前とは異なり、中央のスアレスを活かしつつ、自身も自由に動いて攻撃を組み立てるという、より柔軟なものでした。

このように、監督たちはチームの状況や対戦相手に応じて、メッシという「最強の駒」を最も効果的に配置する方法を常に模索してきたのです。

メッシ自身のプレースタイルの進化

監督の意図だけでなく、メッシ自身の選手としての成長もポジション変更の大きな要因です。

デビュー当初のメッシは、スピードに乗ったドリブル突破を得意とする純粋なウィンガーでした。 しかし、経験を重ねるにつれて、プレーの幅は大きく広がりました。卓越したパスセンス、広い視野、そして試合の流れを読む戦術眼を身につけていったのです。

この進化は、彼がサッカーというスポーツをいかに深く理解しているかを示しています。常に学び、成長し続ける姿勢こそが、彼を長年にわたり世界の頂点に立たせている理由の一つでしょう。

加齢による身体能力の変化への適応

どれほど偉大な選手であっても、年齢による身体能力の変化は避けられません。メッシも例外ではなく、30代を迎えてからは、キャリア初期のような爆発的なスピードで何度もスプリントを繰り返すことは難しくなってきました。

しかし、メッシのすごいところは、その身体的な変化を、プレースタイルの変化によって見事にカバーしている点です。彼は、運動量やスピードが求められる最前線やサイドでのプレーを減らし、代わりに、より少ない運動量で効果的なプレーができるピッチ中央のポジションを選ぶようになりました。

トップ下やインサイドハーフといったポジションでは、爆発的なスピードよりも、一瞬の閃きやパスの精度、そしてポジショニングの良さが重要になります。 メッシは、自身の経験とサッカーIQを最大限に活用し、省エネながらも試合を決定づけるプレーを続けることで、その価値を全く落とすことなくキャリアを積み重ねています。これは、彼の賢さとフットボールへの深い愛情の表れと言えるでしょう。

メッシのポジションに関するよくある質問

メッシの多才さゆえに、彼のポジションに関しては様々な疑問が浮かびます。ここでは、多くの人が抱くであろう質問に、Q&A形式で分かりやすくお答えします。

Q1. メッシの得意なポジションは結局どこ？

これは非常に難しい質問ですが、あえて答えるなら「その時々のチーム戦術と彼のコンディションによって最適解が変わる」というのが最も正確な答えでしょう。

• 得点能力を最大限に活かすなら「偽9番」：シーズン91ゴールという驚異的な記録を打ち立てた時期のポジションであり、メッシのスコアラーとしての能力が最も発揮されたのは間違いないでしょう。
• ゲームメイク能力を活かすなら「トップ下」：近年のように、卓越したビジョンとパスセンスで試合全体をコントロールする役割も、彼の大きな魅力です。
• ドリブル突破を活かすなら「右ウィング」：若き日のように、サイドを切り裂くドリブルは観る者を魅了しました。

どのポジションでも世界最高レベルのプレーを見せられるため、「このポジションが一番」と断定することはできません。むしろ、「特定のポジションに縛られない」ことこそがメッシの最大の強みと言えるかもしれません。

Q2. メッシは守備をしないって本当？

「メッシは守備をしない」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、これは一概に正しいとは言えません。確かに、チームによっては守備のタスクを免除され、攻撃に専念するよう指示されている場合があります。これは、彼の体力を温存させ、試合を決定づける攻撃の場面で100%の力を発揮させるためのチーム戦術です。

しかし、彼が全く守備をしないわけではありません。特にアルゼンチン代表で見られるように、重要な試合では前線から積極的にプレスをかけ、相手からボールを奪い返すシーンも数多く見られます。

したがって、「守備をしない」というよりは、「チームの戦術によって守備の役割や貢献度が変化する」と理解するのがより正確です。

Q3. 現在のインテル・マイアミでのポジションは？

2023年に加入したアメリカのメジャーリーグサッカー（MLS）に所属するインテル・マイアミでは、メッシは主にフォワードとしてプレーしています。 フォーメーションによっては、2トップの一角や、トップ下のような役割を担うこともあります。

インテル・マイアミでは、彼が攻撃の全権を握る絶対的な中心選手として君臨しています。バルセロナ時代の盟友であるセルヒオ・ブスケツやジョルディ・アルバ、ルイス・スアレスといった選手たちも在籍しており、彼らとの連携から数多くのチャンスを生み出しています。

年齢を重ねてもなお、新たなリーグでファンを魅了し続けるメッシ。インテル・マイアミでの彼のプレーは、彼のキャリアの集大成とも言えるかもしれません。

まとめ：メッシのポジションが示す「最高の選手」の姿

リオネル・メッシのキャリアを「ポジション」という切り口で振り返ると、彼がいかに非凡な選手であるかが改めて浮き彫りになります。

• デビュー当初の右ウィングでは、爆発的なドリブルでサイドを切り裂くチャンスメーカーとして頭角を現しました。
• 偽9番としては、サッカーの戦術史に名を刻む革命を起こし、ストライカーと司令塔の役割を一人でこなす万能選手へと進化しました。
• MSN時代の右ウィングでは、より自由にピッチを駆け巡り、仲間を活かしながら自らも輝くプレーメーカー・フォワードとしての境地を切り開きました。
• そして近年のトップ下やインサイドハーフでは、円熟の境地に達したゲームメーカーとして、チーム全体を操る絶対的な司令塔に君臨しています。

このように、メッシは特定のポジションに安住することなく、監督の戦術、チームメイトの特性、そして自身の年齢や身体能力の変化に巧みに適応しながら、常に最高のパフォーマンスを発揮し続けてきました。

メッシのポジションの変遷は、単なる配置の変更ではありません。それは、彼の**驚異的なサッカーIQ、飽くなき向上心、そしてフットボールへの深い理解**がもたらした、選手としての進化の軌跡そのものです。一つのポジションを極めるだけでも超一流ですが、複数のポジションで世界の頂点に立ち続けるメッシは、まさに「史上最高の選手（G.O.A.T.）」と呼ぶにふさわしい存在と言えるでしょう。