サッカーの試合を観戦したり、実際にプレーしたりする中で、「このコートって、どれくらいの広さなんだろう?」「この線の名前や意味は何?」と疑問に思ったことはありませんか?実は、11人制サッカーで使われる大人用のコートには、公式なサイズの規定があり、試合の種類によって大きさが異なる場合もあるのです。
この記事では、11人制サッカーコートの基本的なサイズから、ペナルティエリアやセンターサークルといった各エリアの細かい寸法、そしてそれぞれのラインが持つ役割まで、図や表を交えながらわかりやすく解説していきます。少年サッカーとの違いや、実際にコートをレンタルできる場所の探し方にも触れていきますので、サッカーへの理解をさらに深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
11人制サッカーコート【大人用】の基本サイズと規格

サッカーの試合が繰り広げられる長方形の舞台、それが「競技のフィールド」です。一般的にはサッカーコートやピッチと呼ばれています。まずは、大人(中学生以上)がプレーする11人制サッカーコートの基本的な大きさについて見ていきましょう。実は、コートのサイズは一つに固定されているわけではなく、規定の範囲内で変動が認められています。
タッチラインとゴールラインの長さ
サッカーコートの大きさは、2本のタッチライン(長い方の辺)と2本のゴールライン(短い方の辺)の長さで決まります。日本サッカー協会(JFA)の競技規則によると、サイズは以下のように定められています。
| ラインの種類 | 最小 | 最大 |
|---|---|---|
| タッチライン | 90m | 120m |
| ゴールライン | 45m | 90m |
このようにサイズに幅があるため、スタジアムによってコートの大きさが微妙に異なることがあります。 この範囲内であれば、各競技会がサイズを決定することができます。 サッカー経験者の中には、「今日のピッチは少し狭いな」とか「ここは広く感じる」といった感想を持つ人がいますが、それはこの規定によるものなのです。
国際試合と国内試合でのサイズの違い
国内の一般的な試合と、国の代表チーム同士が戦う国際試合とでは、コートのサイズ規定が少し異なります。 ワールドカップやオリンピックのような大きな大会では、より厳密な基準が設けられています。
| 試合の種類 | タッチラインの長さ | ゴールラインの長さ |
|---|---|---|
| 一般的な試合 | 90m ~ 120m | 45m ~ 90m |
| 国際試合 | 100m ~ 110m | 64m ~ 75m |
表を見ると、国際試合の方がサイズ規定の範囲が狭く、より均一な環境で試合が行われるように配慮されていることがわかります。
さらに、FIFA(国際サッカー連盟)は、105m × 68mを推奨サイズとしています。 日本のJリーグの試合が行われるスタジアムや、ワールドカップなどの主要な国際大会では、この推奨サイズが標準として採用されることがほとんどです。
小学生や中学生のコートとの比較
大人が使用する11人制のコートは非常に広いですが、体がまだ小さい小学生年代では、異なるサイズのコートが使用されます。日本では、小学生のサッカーは8人制が主流となっており、それに合わせたコートサイズが推奨されています。
| 年代・人数 | タッチラインの長さ | ゴールラインの長さ |
|---|---|---|
| 大人(11人制) | 90m ~ 120m | 45m ~ 90m |
| 小学生(8人制) | 68m | 50m |
| 小学生(11人制) | 80m | 50m |
8人制のコートは、大人のコート(FIFA推奨サイズ)の約半分の広さです。 これにより、11人制のコートが1面あれば、8人制のコートを2面作ることが可能です。 体が小さい小学生年代では、コートを小さくすることで、選手一人ひとりがボールに触れる機会を増やし、試合への関与度を高める目的があります。 中学生になると、大人と同じ11人制でプレーするため、基本的に大人と同じサイズのコートを使用します。
コート内の各エリアの名称とサイズ

サッカーコートには、タッチラインとゴールライン以外にも、様々なラインで区切られたエリアが存在します。それぞれのエリアには名前があり、特定のルールが適用されます。ここでは、各エリアの名称とそのサイズについて詳しく見ていきましょう。
ペナルティエリアとゴールエリア
ゴール前に設けられた2つの長方形のエリアが、ペナルティエリアとゴールエリアです。これらは試合の勝敗に直結する非常に重要なエリアです。
- ゴールエリア: ゴールのすぐ近くにある小さな長方形のエリアです。
- サイズ: 左右のゴールポストの内側から5.5mの地点から、ゴールラインに対して直角に5.5mの線を2本引き、その先端を結んだエリアです。 つまり、縦5.5m × 横18.32m(5.5m + 7.32m(ゴール幅) + 5.5m)の広さになります。
- 役割: 主にゴールキックの際にボールを置くことができる範囲を示します。このエリア内であればどこからでもゴールキックを蹴ることができます。
- ペナルティエリア: ゴールエリアの外側を囲む、より大きな長方形のエリアです。
- サイズ: 左右のゴールポストの内側から16.5mの地点から、ゴールラインに対して直角に16.5mの線を2本引き、その先端を結んだエリアです。 これにより、縦16.5m × 横40.32m(16.5m + 7.32m + 16.5m)の広さになります。
- 役割: このエリア内で守備側の選手が直接フリーキックに相当する反則を犯した場合、攻撃側にペナルティキック(PK)が与えられます。 また、ゴールキーパーはこのエリア内でのみ、ボールを手で扱うことが許されています。
センターサークルとセンターマーク
コートのちょうど中央には、ハーフウェーラインと呼ばれる、ピッチを半分に分ける線が引かれています。 このラインの中心点がセンターマークです。
- センターサークル: センターマークを中心に描かれた大きな円です。
- サイズ: 半径が9.15m(10ヤード)の円です。
- 役割: 試合開始(キックオフ)や得点後のプレー再開時に、キックオフを行わないチームの選手は、ボールが蹴られるまでこのサークルの中に入ることができません。 攻守を分ける重要な役割を担っています。
- センターマーク: ハーフウェーラインの中央にある印です。
- 役割: キックオフの際にボールを置く場所を示します。ここから試合が開始されます。
コーナーアークとペナルティアーク
コートの四隅とペナルティエリアの外側にも、重要な役割を持つ円弧が描かれています。
- コーナーアーク: コートの四隅に描かれた四分円です。
- サイズ: コーナーフラッグポストから半径1mの四分円です。 このエリアは「コーナーエリア」とも呼ばれます。
- 役割: コーナーキックを行う際に、ボールをこの円弧の内側またはライン上に置かなければなりません。
- ペナルティアーク: ペナルティエリアの外側に接するように描かれた円弧です。
- サイズ: ペナルティマークから半径9.15mの円弧です。
- 役割: ペナルティキック(PK)が行われる際に、キッカーとゴールキーパー以外の選手は、ペナルティエリアの外、かつこのペナルティアークの外側にいなければなりません。 つまり、ペナルティマークから9.15m以上離れる必要があることを示しています。
ゴールのサイズ
サッカーの最大の目的であるゴールにも、もちろん規定サイズがあります。中学生以上が使用する一般用のゴールは、プロの試合で使われるものと全く同じ大きさです。
- 一般用(11人制)ゴールのサイズ
- 内側の幅: 7.32m(8ヤード)
- 地面からクロスバー下端までの高さ: 2.44m(8フィート)
ゴールポストとクロスバーの太さは同じでなければならず、12cm以下と定められています。 また、色は白色と規定されています。 ちなみに、小学生が使用する8人制用のゴールは一回り小さく、幅5m、高さ2.15mのものが使われます。
ラインの役割と太さのルール

サッカーコートに引かれている全てのラインは、単なる飾りではありません。それぞれが重要な意味を持ち、ルールを適用するための境界線として機能しています。ラインの太さにも規定があることをご存知でしょうか。
各ラインが持つ重要な意味
コート上のラインは、プレーが有効な範囲や、特定のルールが適用されるエリアを明確に示しています。
- タッチラインとゴールライン: このラインをボールが完全に越えたかどうかで、プレーがインプレー(続行中)かアウトオブプレー(停止)かが決まります。 タッチラインを越えればスローイン、ゴールラインを越えればゴールキックまたはコーナーキックでプレーが再開されます。
- ハーフウェーライン: ピッチを自陣と敵陣に分ける境界線です。 オフサイドのルールを判断する上でも重要な基準となります。
- ペナルティエリアライン: このラインの内側か外側かで、ファウルの罰則が大きく変わります。内側であればPKになる可能性があり、ゴールキーパーが手を使える範囲もこのラインまでです。
ラインの太さに関する規定
フィールド上の全てのラインは、同じ太さでなければならず、その幅は12cm(5インチ)を超えてはならないと定められています。 ゴールラインの幅は、ゴールポストとクロスバーの太さと同じでなければなりません。 一見すると些細なことに思えるかもしれませんが、この太さがゴール判定などで重要な意味を持つことがあります。ボールがゴールラインを完全に越えたかどうかを判定する際、ラインの幅も考慮されるため、正確な太さで引かれていることが公平なジャッジのために不可欠なのです。
ラインを引くために必要な道具
サッカーコートに正確なラインを引くためには、いくつかの専用道具が必要になります。もし自分たちでグラウンドにコートを作ることになった場合、以下のようなものが役立ちます。
- メジャー(巻尺): コートの寸法を正確に測るために必須です。100m以上の長さが測れるものが望ましいでしょう。
- ラインカー: 石灰(炭酸カルシウム)や専用の塗料を入れ、転がしながらラインを引くための手押し車です。
- 杭とロープ(ライン引きロープ): 長い直線をまっすぐに引くために、始点と終点に杭を打ち、ロープを張ってガイドにします。
- コーナー用の釘やマーカー: ペナルティエリアの角など、直角を正確に出すために使います。ピタゴラスの定理(3:4:5の比率)を利用して直角を作るのが一般的です。
これらの道具を使い、まずはコートの四隅を決め、タッチラインとゴールラインを引きます。その後、ハーフウェーライン、ペナルティエリア、センターサークルといった内部のラインを順番に引いていくのが基本的な手順です。特に、ペナルティエリアなどの角を正確に直角にする作業は、少し手間がかかりますが、正確なコートを作る上で非常に重要です。
まとめ:11人制サッカーコート【大人用】の知識を深め、プレーや観戦をもっと楽しもう

この記事では、11人制サッカーの大人用コートについて、そのサイズから各エリアの名称、ラインの役割に至るまで、詳しく解説してきました。
- コートサイズには幅がある: タッチラインは90~120m、ゴールラインは45~90mと規定されており、スタジアムによって大きさが異なる。
- 国際基準と推奨サイズ: ワールドカップなどでは100~110m × 64~75mの範囲で、FIFAは105m × 68mを推奨している。
- 各エリアの重要性: ペナルティエリアやゴールエリアなど、コート内の各ラインやエリアは、それぞれが特定のルールと密接に関わっている。
- ラインの規定: 全てのラインの太さは12cm以下と定められており、ラインはエリアの一部と見なされる。
これらの知識は、サッカーのルールをより深く理解する助けとなり、プレーの質を高めるだけでなく、試合観戦の視点を豊かにしてくれます。次にサッカーをプレーする時や観戦する時には、ぜひコートの広さやラインの意味を意識してみてください。これまでとは一味違った面白さや奥深さを発見できるはずです。



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