日本全国で熱戦が繰り広げられるJリーグですが、実は2025年現在、まだJリーグに所属するクラブがない県が6つ存在します。
「自分の住んでいる県にはJリーグクラブがない…」「どうしてJリーグのチームがないんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?この記事では、Jリーグクラブがない6県を具体的に挙げ、その背景にある理由を詳しく解説します。さらに、各県でJリーグ入りを目指して奮闘している注目のサッカークラブも紹介します。
この記事を読めば、Jリーグがない県の現状と、未来に向けた熱い挑戦について深く理解できるはずです。サッカーを通じた地域活性化の可能性についても一緒に見ていきましょう。
Jリーグない県はどこ?2025年最新情報
日本全国に60のクラブが加盟するJリーグですが、全ての都道府県にチームが存在するわけではありません。 このセクションでは、2025年シーズン時点でJリーグクラブが存在しない県と、その背景にある理由、そしてJリーグのカテゴリーについて分かりやすく解説します。
2025年現在、Jリーグクラブがない都道府県一覧
2025年シーズンにおいて、Jリーグ(J1、J2、J3)に所属するクラブがないのは以下の6県です。
地方 | 都道府県 |
---|---|
中部 | 福井県 |
近畿 | 三重県、滋賀県、和歌山県 |
中国 | 島根県 |
四国 | 高知県 |
以前は高知県もJリーグクラブがない県でしたが、2024年シーズンのJFL(日本フットボールリーグ)で好成績を収め、入れ替え戦を経て高知ユナイテッドSCが2025シーズンからのJ3昇格を決めました。 これにより、四国地方は全都道府県にJリーグクラブが揃うことになります。
なぜこれらの県にはJリーグクラブがないのか?主な理由
Jリーグクラブが誕生しない背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。 主な理由としては、以下の3点が挙げられます。
- スタジアムの問題: Jリーグに加盟するためには、リーグが定める基準を満たしたスタジアムが必要です。 例えば、J3ライセンスを取得するためには原則として5,000人以上収容できるスタジアムが必要で、屋根や照明設備、更衣室などの施設基準も細かく定められています。 これらの基準を満たすスタジアムが県内にない、または施設の老朽化が進んでいることが、加盟への大きな障壁となっています。
- 資金面(スポンサー)の問題: クラブを安定して経営していくためには、多額の資金が必要です。Jリーグクラブの主な収入源は、スポンサーからの広告料収入、入場料収入、グッズ販売などです。特に、地域企業からの継続的なスポンサー支援は不可欠ですが、人口規模や経済規模によっては十分な支援を得ることが難しい場合があります。
- 地域性やサッカー文化: 地域によっては、野球などの他のスポーツの人気が高く、サッカー文化が根付きにくいケースもあります。 地域住民の関心やサポートがなければ、観客動員数やボランティアスタッフの確保も難しくなり、クラブ運営は困難になります。
「Jリーグ」の定義とは?J1、J2、J3の違いを簡単解説
Jリーグは、1993年に10クラブで開幕した日本のプロサッカーリーグです。 2025シーズン現在では、J1、J2、J3の3つのカテゴリーに分かれており、合計60クラブが所属しています。
- J1リーグ (明治安田J1リーグ): Jリーグのトップカテゴリーであり、20クラブが所属しています。国内最高のレベルを誇り、優勝クラブにはAFCチャンピオンズリーグ(アジアのクラブNo.1を決める大会)への出場権が与えられることもあります。
- J2リーグ (明治安田J2リーグ): J1に次ぐ2番目のカテゴリーで、20クラブが所属。シーズン終了時の上位クラブはJ1へ昇格し、下位クラブはJ3へ降格する「昇格・降格制度」があり、毎年厳しい戦いが繰り広げられます。
- J3リーグ (明治安田J3リーグ): 3番目のカテゴリーで、20クラブが所属します。Jリーグへの入り口とも言えるリーグで、下部リーグであるJFLからの昇格を目指すクラブが参入してきます。J2への昇格を目指す戦いと同時に、JFLへの降格を避ける戦いも行われます。
これらのリーグ構成により、クラブは実力に応じてカテゴリーを昇降格し、リーグ全体の競争力と魅力が高まっています。
Jリーグに加盟するための厳しい道のり
「Jリーグクラブがない県」のクラブが、Jリーグという舞台にたどり着くには、いくつもの高いハードルを越えなければなりません。ここでは、Jリーグ加盟に至るまでの具体的なプロセスと、そこに立ちはだかる厳しい条件について詳しく見ていきましょう。
Jリーグ百年構想クラブとは?加盟への第一歩
Jリーグ加盟を目指すクラブにとって、最初の目標となるのが「Jリーグ百年構想クラブ」としての認定です。 これは、将来的にJリーグへの入会を目指す意思と能力を持つクラブとして、Jリーグから公式に認められることを意味します。
この認定を受けるためには、サッカークラブとしての活動実績はもちろん、安定した運営母体(株式会社や公益社団法人など)、適切な練習施設の確保、そしてホームタウンからの支援など、多岐にわたる要件を満たす必要があります。
JFLからの昇格条件とは?スタジアム基準や入場者数の壁
Jリーグ百年構想クラブに認定された、あるいはJリーグ入りを目指すクラブの多くは、J3の一つ下のカテゴリーにあたるJFL(日本フットボールリーグ)で戦います。JFLからJ3へ昇格するためには、主に以下の条件をクリアする必要があります。
条件 | 具体的な内容 |
---|---|
成績要件 | JFLのリーグ戦で年間最終順位が2位以内であること。 |
入場者数要件 | ホームゲームの1試合平均入場者数が2,000人に到達していること。 |
入場料収入要件 | 年間入場料収入が1,000万円に到達していること。 |
ライセンス要件 | J3クラブライセンスが交付されていること。 |
特に厳しいのが入場者数とスタジアム基準です。Jリーグに加盟していないクラブが、コンスタントに2,000人以上の観客を集めるのは容易ではありません。地道な広報活動やイベント開催などを通じて、地域住民の関心を高めていく努力が不可欠です。スタジアムに関しても、前述の通り収容人数や照明などの設備基準を満たす必要があり、改修や新設には莫大な費用がかかるため、自治体の協力が欠かせません。
経営の安定性が不可欠!ライセンス制度の重要性
Jリーグに加盟し、活動を継続していくためには、Jリーグクラブライセンスの取得が必須です。 このライセンス制度は、クラブが健全な経営を行い、質の高い試合を提供できる体制が整っているかを審査するものです。
審査基準は大きく分けて5つあります。
- 競技基準: ユースチームの保有や指導者資格など。
- 施設基準: 基準を満たしたスタジアムや練習場の確保。
- 組織運営基準: 専門知識を持つスタッフの配置や健全な組織体制。
- 法務基準: 法令遵守の体制。
- 財務基準: 3期連続の赤字や債務超過に陥らないことなど、安定した財政状況。
特に財務基準は厳しく、安定したスポンサー収入や入場料収入が見込めなければ、ライセンスの交付は受けられません。 多くのクラブが、この経営の安定化という課題に直面しています。ピッチでの強さだけでなく、クラブ経営の手腕も問われるのが、Jリーグへの道のりの厳しさなのです。
未来のJリーグ入りを目指す!各県の注目クラブ
Jリーグクラブがない県でも、多くのクラブが「いつかJリーグへ」という熱い想いを胸に、日々活動しています。ここでは、各県でJリーグ昇格を目指して奮闘する、注目のクラブを紹介します。
【福井県】福井ユナイテッドFCの挑戦
福井県からは、福井ユナイテッドFCがJリーグ入りを目指しています。 北信越フットボールリーグ1部に所属しており、県内では圧倒的な強さを誇ります。
前身のサウルコス福井時代からJリーグ加盟を目標に掲げてきましたが、経営難などを乗り越え、2019年に現在の体制となりました。 「福井創生とスポーツ文化による県民幸福度のさらなる向上」を目的とし、福井県勢初のJFL昇格、そしてその先のJリーグ参入を目標に活動しています。 天皇杯ではJリーグクラブと対戦する機会もあり、着実に力をつけているクラブです。福井県初のJリーガー誕生に向けて、地域の期待を一身に背負っています。
【三重県】ヴィアティン三重とアトレチコ鈴鹿クラブの動向
三重県には、JFLに所属する2つのクラブ、ヴィアतिン三重とアトレチコ鈴鹿クラブがあり、互いに切磋琢磨しながらJリーグ昇格を目指しています。
ヴィアティン三重は桑名市などをホームタウンとし、「三重県初のJリーグクラブ」を目指して活動しています。 2017年からJFLで戦い続けており、安定した実力を持つクラブです。
一方、アトレチコ鈴鹿クラブは鈴鹿市をホームタウンとしています。 過去には経営体制の問題などもありましたが、2024年に元Jリーガーの斉藤浩史氏が社長に就任し、新体制で再スタートを切りました。 困難を乗り越え、地域に愛されるクラブ作りを進めています。 2つのクラブが競い合う「三重ダービー」は、JFLの中でも特に注目されるカードの一つとなっています。
【滋賀県】レイラック滋賀FCの現在地
滋賀県からは、レイラック滋賀FCがJリーグの舞台を目指しています。 JFLに所属しており、滋賀県初のJリーグ参入に向けて最も近い位置にいるクラブと言えるでしょう。
2023年に「MIOびわこ滋賀」から現在のクラブ名に変更し、クラブ体制を刷新しました。 JFLでは上位争いに絡む実力を持ち、2025シーズンのJ3クラブライセンスも「条件付き承認」という形で交付されており、昇格の準備を着々と進めています。 ホームスタジアムの改修など、昇格に向けた課題をクリアし、悲願達成となるか注目が集まります。
【和歌山県】アルテリーヴォ和歌山の取り組み
和歌山県では、アルテリーヴォ和歌山が関西サッカーリーグ1部で戦いながら、Jリーグ入りを目指しています。 「和歌山からJリーグへ」を合言葉に、2007年に設立されました。
関西リーグでは強豪として知られ、何度も全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(JFL昇格をかけた大会)に出場しています。 2025シーズンからは元Jリーガーも含む新戦力を多数補強し、三枝寛和新監督のもとでJFL昇格、そしてその先のJリーグ参入を目指す体制を整えました。 「スポーツを通じて和歌山に夢・感動・活力を提供する」という理念を掲げ、地域に根差した活動を続けています。
【島根県】FC神楽しまねの再建と未来
島根県では、過去にJFLに所属していたFC神楽しまねがJリーグ入りを目指していましたが、2022年に給与未払い問題などが発覚し、経営難に陥りました。 JFLからも退会し、クラブは事実上の活動休止状態となりました。
現在は、新たな運営会社のもとで再建の道を探っている段階です。ファンや地域の支援を受けながら、再びJリーグを目指せる体制を構築できるかが課題となっています。島根県民にとって、地元のクラブの復活は大きな願いであり、今後の動向が注目されます。
【高知県】高知ユナイテッドSCの躍進
高知県は、長らくJリーグクラブがない県の一つでした。野球人気が高く「サッカー不毛の地」とまで言われることもありましたが、その歴史に終止符を打ったのが高知ユナイテッドSCです。
2016年に県内の2つのチームが統合して誕生し、着実にステップアップ。 2020年からJFLで戦い、2024年シーズンに見事JFLで2位以内に入り、J3・JFL入れ替え戦に出場。J3クラブとの激闘を制し、2025シーズンからのJ3リーグ参入を決めました。 これにより、高知県はJリーグクラブがない県から卒業し、四国4県全てにJリーグクラブが揃うことになりました。彼らの挑戦は、他のJリーグがない県にとっても大きな希望となるでしょう。
Jリーグクラブが地域にもたらすもの
Jリーグクラブの誕生は、単にプロサッカーの試合が観られるようになるだけではありません。クラブの存在は、地域社会に多岐にわたるポジティブな影響をもたらします。ここでは、Jリーグクラブが地域にもたらす価値について掘り下げていきます。
経済効果と地域活性化への貢献
Jリーグクラブがホームタウンに存在することは、大きな経済効果を生み出します。ホームゲーム開催日には、サポーターがスタジアムに集結し、飲食やグッズ購入、さらには宿泊や観光などで地域にお金を落とします。
また、クラブ名が全国的に報道されることで、地域の知名度向上にも大きく貢献します。メディアへの露出が増えることで、「サッカーチームのある街」として認知され、観光客誘致や企業誘致のきっかけになることも期待できます。
子どもたちへの夢とスポーツ文化の醸成
プロサッカー選手が身近な存在になることは、地域の子どもたちに大きな夢と希望を与えます。スタジアムで選手の華麗なプレーを目の当たりにしたり、クラブが開催するサッカースクールに参加したりすることで、子どもたちはスポーツの楽しさを知り、プロ選手を目指すという具体的な目標を持つことができます。
Jリーグが掲げる「百年構想」は、サッカーに限らず、地域にスポーツが根付く文化を創り出すことを目指しています。 クラブがハブとなり、サッカー以外のスポーツ教室や健康増進イベントなどを開催することで、子どもからお年寄りまで、誰もがスポーツに親しめる環境が育まれていきます。これにより、地域全体の健康寿命の延伸や、コミュニティの活性化にも繋がります。
地域住民のアイデンティティと一体感の創出
地元のクラブを応援することは、地域住民にとって共通の話題や目的となり、強い一体感を生み出します。スタジアムに集い、同じチームカラーのユニフォームを着て、一喜一憂しながら声を枯らして応援する。こうした体験は、世代や職業を超えた人々の交流を促し、地域への愛着や誇り(シビックプライド)を育みます。
クラブの勝利は街全体の喜びとなり、たとえ負けたとしても「次こそは」という気持ちが地域を一つにします。クラブは単なるスポーツチームではなく、地域のシンボルとなり、住民の心を繋ぐ存在となるのです。このように、Jリーグクラブはサッカーを通じて人々を結びつけ、より豊かで活力のある地域社会を創り出す上で、非常に重要な役割を担っています。
まとめ:Jリーグない県の未来とサッカーの可能性
この記事では、2025年現在Jリーグクラブがない6つの県(福井県、三重県、滋賀県、和歌山県、島根県、高知県)と、その背景にあるスタジアムや資金面などの課題について解説しました。 一方で、高知ユナイテッドSCがJ3昇格を果たしたように、各県ではJリーグ入りを目指すクラブが地域と共に熱い戦いを続けています。
Jリーグに加盟する道は決して平坦ではありません。JFLでの好成績はもちろん、安定した経営基盤、基準を満たすスタジアム、そして何よりも地域からの熱いサポートが不可欠です。
しかし、Jリーグクラブが誕生すれば、経済効果や地域の活性化、子どもたちへの夢、住民の一体感の醸成など、計り知れない恩恵がもたらされます。今回紹介した各クラブの挑戦は、まさに地域創生の可能性を秘めたプロジェクトと言えるでしょう。
あなたの街の近くにも、未来のJリーグクラブを目指して奮闘しているチームがあるかもしれません。ぜひ一度スタジアムに足を運び、その熱気を感じてみてください。あなたの応援が、新たなJリーグクラブ誕生の大きな力になるはずです。
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